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「充満〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

充満の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
文章」より 著者:芥川竜之介
ハムレットの性格などは……」 保吉はたちまち大悟《たいご》した。天下に批評家の充満しているのは必ずしも偶然ではなかったのである。 葬列はとうとう寺の門へはい....
神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
った。この薄暗い内陣《ないじん》の中には、いつどこからはいって来たか、無数の鶏が充満している、――それがあるいは空を飛んだり、あるいはそこここを駈けまわったり、....
るしへる」より 著者:芥川竜之介
んしや」とて、無色無形の実体にて、間《かん》に髪《はつ》を入れず、天地いつくにも充満して在《まし》ませども、別して威光を顕《あらわ》し善人に楽《らく》を与え玉わ....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
も、乃至《ないし》寝床の桃の花も、ことごとく忌《いま》わしい腐敗の※《におい》に充満しているとしか思われなかった。殊にあの十六人の女たちは、いずれも死穢《しえ》....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
思えば好い。 これは何もわたし一人の地上楽園たるばかりではない。同時に又天下に充満した善男善女の地上楽園である。唯古来の詩人や学者はその金色の瞑想《めいそう》....
樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
て行った。その日は夏の晴天で、脂臭《やにくさ》い蘇鉄《そてつ》のにおいが寺の庭に充満しているころだったが、例の急な石段を登って、山の上へ出てみると、ほとんど意外....
誘惑」より 著者:芥川竜之介
60 月の光を受けた山中の風景。この風景はおのずから「磯ぎんちゃく」の充満した、嶮《けわ》しい岩むらに変ってしまう。空中に漂う海月《くらげ》の群。しか....
初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
より一攫千金《いっかくせんきん》を夢みてきたのではない。予はただこの北海の天地に充満する自由の空気を呼吸せんがために、津軽の海を越えた。自由の空気! 自由の空気....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
見つめれば見つめるほど、大きな真実な人間生活の諸相が明瞭に現われ出た。私の内部に充満して私の表現を待ち望んでいるこの不思議な世界、何だそれは。私は今にしてそれが....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
きれば、無限の電気を得ることになる。なお成層圏の上の方には地上から発散する水素が充満している。その水素に酸素を加えると、これがすばらしい動力資源になる。従って飛....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
素早く、階子段の降口を塞いで、むずと、大手を拡げたろう。……影が天井へ懸って、充満の黒坊主が、汗膏を流して撫じょうとする。 いや、その嫉妬執着の、険な不思議....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
は。――宴会前で腹のすいた野原では、見るからに唾を飲まざるを得ない。薄皮で、肉|充満という白いのが、妾だろう、妾に違いない。あの、とろりと色気のある工合がよ。お....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
について、あの、入口の、たいてい原ほどはござります、板の間が、あなた様、道者衆で充満で、足踏も出来ません処から、框へかけさせ申して、帳場の火鉢を差上げましたよう....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
が無理に肉体から引き離されて帰幽するからで、つまり資格のない未熟の霊魂が、幽界に充満する訳なのである。しかもそれ等の霊魂は、死の瞬間に於て忿怒に充ち、残忍性に充....
杜子春」より 著者:芥川竜之介
きました。その途端に闇がさっと裂けると、驚いたことには無数の神兵が、雲の如く空に充満ちて、それが皆|槍や刀をきらめかせながら、今にもここへ一なだれに攻め寄せよう....