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充溢
「充溢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
充溢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
悪《にく》らしいよ」
富「あゝ痛い、捻《つね》ってはいけない、そういう……又|
充溢《いっぱい》になってしまった……いけないねえ……だが、お隅さん、本当に御疑念....
「聖書の読方」より 著者:内村鑑三
て是は単に非猶太的なる路加伝に就て言うたに過ぎない、新約聖書全体が同じ思想を以て
充溢れて居る、即ち知る聖書は来世の実現を背景として読むべき書なることを、来世抜き....
「惜別」より 著者:太宰治
中は、すきまだらけです。文芸は、その不公平な空洞を、水が低きに流れるように自然に
充溢させて行くのです。」 そんな話を聞かせてもらうと、私のような野暮な山猿にも....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
基づいたのか予に分らぬ。 英語に鶏から出た詞《ことば》が多い。例せば雄鶏が勝気
充溢して闘いに掛かるごとく、十分に確信するをコック・シュア、妻に口入れされて閉口....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
レツク/\スッテンテン」他に何も文句は云いません。処の風と云うものは妙なもので、
充溢の人立ちでございます。太田屋という旅宿がございまして、其の家に泊って居ります....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
宿《ししゅく》の中の往還のことですからたまりません。
殺気がみるみるその街道に
充溢して、忽《たちま》ち往来止めの有様でした。
主膳は眼を吊《つる》し上げて、....
「風俗時評」より 著者:豊島与志雄
は生々と輝き、挙措動作は軽快で、溌剌たる会話が際限もなく続く。心身ともに、精力の
充溢があるようである。之に比較すると、日本人のそうした集りには、あらゆる点に活気....
「浅間噴火口」より 著者:豊島与志雄
異常な興奮に」殆んど眠らず、金が無くなったので何にも食えず、「懐中は空虚で心意は
充溢」して、戻ってきたのである。別所とは上野駅で別れた……。 そんな話を、正枝....
「地上」より 著者:島田清次郎
空に高く踴躍する。長い間二つの音色は戦った。戦いつつ、微妙な悲壮さは悠々たる力に
充溢する。音楽はやがて急湍のように迫り、二つの音調は急流のように争いつつ、いつし....
「恐怖の季節」より 著者:三好十郎
ホンモノのニヒリズムは、そんなものとは、まるきりちがう。これは、生命力の過剰と
充溢から生まれる。エネルギイを自己のうちに持つ。いろいろな行動の動機になり得る。....
「生きること作ること」より 著者:和辻哲郎
、少なくを説明しようとする多くの語がある。しかも熱に浮かされた自分にはその空虚が
充溢に見えるのである。 大業にし過ぎるということは若い者にあり勝ちの欠点かも知....
「古寺巡礼」より 著者:和辻哲郎
や慈愛を現わそうとする努力がない。また女体に現われた若々しい生の緊張や豊かな生の
充溢に注目して、それを――アフロディテの彫刻におけるごとく――理想の姿に描き上げ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
胸がいっぱいになった。 「しかも、おれは若い!」 五ツ切れの餅の力は、踵にまで
充溢していた。彼は、踵をめぐらして、 「まだ来ていないようだな……又八は」 と....
「三国志」より 著者:吉川英治
をかざして、 「今日まで、自分もずいぶん大戦に臨んだが、まだその規模の大、軍備の
充溢、これほどまで入念にかかった例しはない」 われながら旺なる哉と思い、意中す....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
ではない。溶かした生命そのものを空虚な肉体へ充たしている感じだった。たちまち内に
充溢してくる生命力が茶碗を置かないうちにありあり分った。 「……そうだ」 箸と....