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充血
「充血〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
充血の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
れ出した。そして涙はあとからあとからみなぎるようにシーツを湿《うるお》しながら、
充血した口びるは恐ろしい笑いをたたえてわなわなと震えていた。
一時間ほどそうし....
「或る女」より 著者:有島武郎
《あめいろ》の板となって縦に薄暗さの中を区切っていた。いつもならばまっ赤《か》に
充血して、精力に充《み》ち満ちて眠りながら働いているように見える倉地も、その朝は....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
単衣《ひとえ》で、それを薄寒そうに裾《すそ》短に着ていた。薄ぎたなくよごれた顔に
充血させて、口を食いしばって、倚《よ》りかかるように前扉に凭《も》たれている様子....
「星座」より 著者:有島武郎
た。つつましく左手を畳についた。その手の指先がしなやかに反って珊瑚《さんご》色に
充血していた。
意外なというごくごくささやかな眼だけの表情、かならずそうである....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
る。 ホワイト襯衣に、縞の粗い慢な筒服、上靴を穿いたが、ビイルを呷ったらしい。
充血した顔の、額に顱割のある、髯の薄い人物で、ギラリと輝く黄金縁の目金越に、看護....
「親子」より 著者:有島武郎
のか、怒りに堪えなかったのか、父は押し黙ってしまった。禿げ上がった額の生え際まで
充血して、手あたりしだいに巻煙草を摘み上げて囲炉裡の火に持ってゆくその手は激しく....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
さきには、吉弥が見えなかった。 寝ころんでいたせいもあろう、あたまは重く、目は
充血して腫れぼッたい。それに、近ごろは運動もしないで、家にばかり閉じ籠り、――机....
「壊れたバリコン」より 著者:海野十三
空しく其の夜は明けはなれて行きました。 僕は其の日に例の将校連が来るかと不眠に
充血した眼を怒らして待ちうけましたが、誰一人としてやって来ません。勿論歩哨の兵士....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
識を喪ったかのように、意味なく騒ぎまわった。捜査課長大江山警部だけは、眼を真紅に
充血させて呶鳴りちらしてはいるものの、一番冷静だった。 第三の犠牲者は三浦糸子....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
ります」 「それは、どういうのですな」 「つまり、障害をうけたとき、患部附近に、
充血とか腫脹が起って、神経|細胞に生理的な歪みが残っていることがある。この歪みを....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
々は、相手の真黒に汚れた顔を見てふきだしたい位でした。瞼は腫れあがり、眼は真赤に
充血し、顔の色は土のように色を失い、血か泥かわからぬようなものが、あっちこっちに....
「露肆」より 著者:泉鏡花
は向かぬぞ。香味あって脂が無い、抵当流れの刻はどうじゃ。」 と太い声して、ちと
充血した大きな瞳をぎょろりと遣る。その風采、高利を借りた覚えがあると、天窓から水....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
「だって君も不眠症だって言うじゃないか? 不眠症は危険だぜ。……」 彼は左だけ
充血した目に微笑に近いものを浮かべていた。僕は返事をする前に「不眠症」のショウの....
「不周山」より 著者:井上紅梅
裂目につめ、火をつけてこれを熔接して仕事を完成しようとしたが、彼女は疲れて、眼は
充血し耳は鳴り、堪えきれない。 「あーあ、私は今までこんなにつまらないことはなか....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
仏間の敷居へ、もっそりと膝を支くと、 「あんさん、」 と、べろりと赤爛れに
充血した瞼で、凝と視上げた、その目がぽろりぽろりと、見る見る涙に塞がった。 「う....