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先入観
「先入観〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
先入観の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
での取調べに於て、朧ながらにも或る結論を脳中に画いていた。けれども裁判官が特定の
先入観に捕われる事は危険であるので、勉めて慎重の態度を取っていたのであるから、今....
「科学と文学」より 著者:寺田寅彦
はなはだしく詭弁をろうしたもののように見えるかもしれないが、もし、しばらく従来の
先入観をおいて虚心に省察をめぐらすだけの閑暇を享有する読者であらば、この中におの....
「一つの思考実験」より 著者:寺田寅彦
知識に飛びついて朝夕心を騒がせ気をいら立てる必要は毛頭ないのである。 あらゆる
先入観念を捨て、あらゆる枝葉の利害を除いて最も本質的にこの問題を考えてみたならば....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
ではない、という推論によっているのかも知れない。がとに角ドイツ風の「文化」という
先入観念に支配されている一部の歴史哲学派や文化哲学派、生の哲学派達などは、啓蒙期....
「華々しき瞬間」より 著者:久坂葉子
彼は南原杉子とわかっていても、舞台にいる人をジャズシンガーと思っているのだから、
先入観念と、今の印象がごちゃまぜになって解し難いのだ。「いつかどこかで」が終ると....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
彼はこの修道院へ来る前から、噂に聞いていただけの長老制度なるものに対して、非常な
先入観をいだいていたので、他の多くの者の尻馬に乗って、有害な改革だと決めてしまっ....
「或る作家の厄日」より 著者:豊島与志雄
晰な眼を持つことだと言われてるだろう。そういう眼を養い育てるには、あらゆる偏見や
先入観を捨て去って、全くの謙虚さに自らを置かなければいけないと、僕は思うよ。」 ....
「省察」より 著者:デカルトルネ
かといえば長く、そして一は他に依繋いたしているからであり、また一つには主として、
先入観からまったく解放せられた、自己自身を感覚の連累から容易に引き離すところの精....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
んでもみたさ。しかし誘いこまれる方では、やはり中学の先生と生徒の集まりだ、という
先入観があるものだから、つい尻ごみしてしまうのだ。で、私はこの機会に、どこの学校....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
りするようなことは、絶対にいたしません。僕の学歴や職業が、ほかの塾生たちに何かの
先入観を与えるというご心配がありましたら、ごまかしては悪いかもしれませんが、履歴....
「奉行と人相学」より 著者:菊池寛
明な人間であっただけに、板倉重宗が原被両告の訴えを聴くときに、その人物風体から、
先入観を与えられることを怖れて、障子を隔てて聴いたように、越前も人相に依って犯人....
「法隆寺再建非再建論の回顧」より 著者:喜田貞吉
してみた。読んでみればみる程これらの非再建論は、単にこれを古いと直感するところの
先入観に囚われたる妄想に過ぎざる事がハッキリと頭にわかって来た。そしてそれと同時....
「握り寿司の名人」より 著者:北大路魯山人
う。 彼には彼の寿司観があって、結局まぐろはそう大きく切るものではない、という
先入観を信念として、魚の切り方には、彼の気骨にも似ず貧弱な切り具合が見られる。 ....
「日を愛しむ」より 著者:外村繁
おこす。しかし、女性の乳房が美しいのは、左右に描かれた均斉美にあるのだろう。或は
先入観からであるかも知れないが、仮にまん中にあるとしても、一個だけの豊満な隆起は....
「道は次第に狭し」より 著者:北大路魯山人
に、これは尾張の大根です、と言ってすすめる。すると彼は、尾張の大根は美味いという
先入観念があるから、これは美味いと自分だけの能書つきで美味く食うのである。という....