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「先刻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

先刻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
明いた。その明いたのに気がついた時、無意識にあの別荘番を予期していた私は、折よく先刻書いて置いた端書の投函《とうかん》を頼もうと思って、何気なくその方を一瞥した....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
、身にしみてひやりとする、と同時にまた何となく頼もしい、妙な心もちが致した事は、先刻もう御耳に入れて置きました。誠にその時の私どもには、心から御代替《ごだいがわ....
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
ましたか。」 「いえ。不相変《あいかわらず》の無駄話ばかりでございます。もっとも先刻、近松《ちかまつ》が甚三郎《じんざぶろう》の話を致した時には、伝右衛門殿なぞ....
三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
「ただこう云うことがございました。試合の前日でございまする。数馬は突然わたくしに先刻の無礼を詫《わ》びました。しかし先刻の無礼と申すのは一体何のことなのか、とん....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
を例としていた。書生は始めて益軒を知り、この一代の大儒の前に忸怩《じくじ》として先刻の無礼を謝した。――こう云う逸事を学んだのである。 当時のわたしはこの逸事....
或る女」より 著者:有島武郎
懐中鏡を取り出して顔を直そうとすると、鏡がいつのまにかま二つに破《わ》れていた。先刻けつまずいた拍子に破れたのかしらんと思ってみたが、それくらいで破れるはずはな....
或る女」より 著者:有島武郎
結果をその幼い心に残さないようにしむけるのはさすがに容易な事ではなかった。葉子は先刻からしきりにそれを案じていたのだ。 「これでも召し上がれ」 食事が済んでか....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
はちまき》の下ににじんだ汗を袖口《そでぐち》で拭《ぬぐ》って、炊事にかかった妻に先刻の五十銭銀貨を求めた。妻がそれをわたすまでには二、三度|横面《よこつら》をな....
碁石を呑んだ八っちゃん」より 著者:有島武郎
碁石をくれろといいたくなった。八っちゃんはまだ三つですぐ忘れるから、そういったら先刻のように丸い握拳だけうんと手を延ばしてくれるかもしれないと思った。 「八っち....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
ようか。虫っけらは何処までも虫っけらで押し通して、人間の鼻をあかさして見てえし、先刻も云った通り、親ってえものは意気地が無え、娘丈けは人間竝みにして見てえと思う....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
鳴っても、うとい耳に聞く人じゃ。それに二つ目へ行かっしゃるに、奥様は通り路。もう先刻に拝んだじゃろうが、念のためじゃ立寄りましょ。ああ、それよりかお婆さん、」 ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
居りませぬが、大体こんなような意味のものでございました。―― 『そなたはしきりに先刻から現世の事を思い出して、悲嘆の涙にくれているが、何事がありても再び現世に戻....
一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
軒の洋食から下は一膳飯、牛飯、大道の焼鳥に至るさ。飯屋にだってうまい物は有るぜ。先刻来る時はとろろ飯を食って来た。 A 朝には何を食う。 B 近所にミルクホール....
寡婦」より 著者:秋田滋
たちの頭には浮んで来なかった。 この遊びももう止めにしようとしていた時である、先刻から、未婚の女でとおして来た年老いた伯母の手を弄ぶともなく弄んでいた一人の若....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
やら、独楽、蠅とり籠、そのほか跳ねあがる紙の鶏がたくさんあった。見たところ、つい先刻おそろしい刑罰が加えられたばかりらしく、生徒はみな忙しそうに書物を熱心に見て....