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「先口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

先口の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
坑夫」より 著者:夏目漱石
と》よりも坑夫に適していると云うところを少しも見せない。全く器械的にやっている。先口《せんくち》だから、もう少しこっちを贔屓《ひいき》にしたら好かろうと思うくら....
S岬西洋婦人絞殺事件」より 著者:夢野久作
スコーの大旦那が顔負けしちゃって、お二人の関係を御承知なすって、退っ引きならない先口をみんな断っておしまいになったというお話で御座いましたが……ところが旦那方の....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
たが、今晩、ここでゆっくり寝物語を伺いたいとの風流があだになりましてな、もう現に先口《せんくち》のお客があって、寝物語の座敷が約束済とのことでがっかりいたしまし....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
うのはほかじゃねえ、おれの方にも、この品を一目拝みてえという人があるんだ、それを先口《せんくち》にして、それが済んでから、兄貴の方へ廻すとしようじゃねえか」 「....
丹下左膳」より 著者:林不忘
き、おさよ婆さんがきりだした来訪の要件というのを聞いてみると、鈴川の殿様のほうが先口で、しかもここに五十両という手切れの現金、おまけに五百石の女隠居というのに婆....
高尾ざんげ」より 著者:豊島与志雄
てゆきました。 「ええどうせあたしは空家ですよ。月ぎめの人でも、年ぎめの人でも、先口に貸してあげるわ。」 なにか口惜しさがこみあげてきて、たて続けに酒を飲んで....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
大いに興味を感じてきた。「そうすると、そこには規則正しい組織があるとか、あるいは先口から順じゅんにゆくというわけだね。まあ、早くいえば、理髪店へいった客が順じゅ....
頸飾り」より 著者:辻潤
の週の終わりには二人ともまったく絶望して仕舞った。 彼女に五ツ年上のロイゼルは先口を開いた。 「如何にかしてあの飾りを返さなければならない」 で、翌日飾りの....
剣侠」より 著者:国枝史郎
ざらぬ。……が、最初にご貴殿において、お訪ね下されたのが拙者の屋敷、言って見れば先口で。……ではその方で飲むのが至当。……」 「ははあなるほど、それもそうじゃ」....
魔都」より 著者:久生十蘭
、 「よかろう。どう転んだって怪我はねえ。いけなきゃア、また、お土砂よ。今度なら先口よりも一段と灼《いやちこ》だァ、驚くもんかい。……幸田節三、どうやら有卦《う....
備前天一坊」より 著者:江見水蔭
落胤と名乗って、岡山の城下へ乗込んだ浪人の一組があった。この方が落胤騒動としては先口で、云って見れば天一坊の元祖に当る訳。 大名の内幕は随分ダラケたもので、侍....
鰍の卵について」より 著者:佐藤垢石
卵しなければならぬのだ。そこで、後からその矢倉石を発見した体力のある鰍の夫婦は、先口の鰍夫婦を追い払って、前に産卵した矢倉石の天井へ産みつける。こんなことが幾度....
好日」より 著者:三好十郎
か? 韮山 そりゃ、私の方の証書の書き代え以前の話だから、書式にすれば銀行の方が先口かも知れません。しかし、その前から私の方じゃ証書一枚で随分御用立てしてあった....
五重塔」より 著者:幸田露伴
屈を自分のためにつけて云えば我はまあ感応寺の出入り、汝はなんの縁もないなり、我は先口、汝は後なり、我は頼まれて設計までしたに汝は頼まれはせず、他の口から云うたら....