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「先客〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

先客の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
た席に腰かけて外套の襟を立てて、黙然として坐っていた。床の上を足を動かすたびに、先客の喰荒らした広東豆(南京豆のこと)の殻が気味悪くつぶれて音をたてた。車内の空....
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
客が来たのではあるまいかとも考えた。自分は今夜来ない筈になっていたのであるから、先客に座敷を占められても苦情はいえない。しかし馴染みの客が茶屋に来ているのに、今....
人造人間殺害事件」より 著者:海野十三
時間をはかり、すこし早や目の時刻に倶楽部へ着いた。会議室のホールには、ただ一人の先客があるばかりであった。その先客は、だらしなく卓子《テーブル》に凭《もた》れた....
深夜の市長」より 著者:海野十三
、その方に踏みだしていた。温い湯気の洩れる暖簾をくぐって、僕は荒くれた二、三人の先客の間に割りこんだ。釜の向うでワンタンを鉢にうつしていた白い割烹着にレースの布....
人間灰」より 著者:海野十三
きつけているので、玄関脇の大きな応接室へ飛び込むと、そこには一隊の警察官を率いた先客の丘署長が居て、拙い視線をパッタリ合わせた。署長は顔に青筋を立てた。 「いよ....
ネオン横丁殺人事件」より 著者:海野十三
分の室に入ると、脅迫状が恐いものだから、厳重に錠をおろして寝た。そこでおみねは、先客の一平が寝ているゆかりの布団へもぐりこんで、午前三時半までいた。それから頃合....
恐しき通夜」より 著者:海野十三
色の浅ぐろい、苦味の走ったキリリとした顔の持ち主――大蘆原軍医だった。 室内の先客である川波大尉と星宮理学士との二人が、同時にハアーッと溜息をつくと、同時に言....
蠅男」より 著者:海野十三
帆村探偵が、住吉区岸姫町の鴨下ドクトル邸を訪れてみると、そこの階下の応接室には、先客が三人も待っていた。それは大阪へ来たついでに楽しい近県旅行をしていたドクトル....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
りに難儀な道中をつづけて、ともかくも青蛙堂まで無事にたどり着くと、もう七、八人の先客があつまっていた。 「それでも皆んな偉いよ。この天気にこの場所じゃあ、せいぜ....
ルバイヤート」より 著者:小川亮作
チューリップひとたび萎めば開かない。 (48) われは酒屋に一人の翁を見た。先客の噂をたずねたら彼は言った―― 酒をのめ、みんな行ったきりで、 一人とし....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
である。 杜が江西地方からかえって韶州に来て、旅宿に行李をおろすと、その宿には先客として貴公子然たる青年が泊まっていた。かれは刺繍のある美しい衣服を着て、玉を....
雪霊記事」より 著者:泉鏡花
その時は、四畳半ではありません。が、炉を切った茶の室に通されました。 時に、先客が一人ありまして炉の右に居ました。気高いばかり品のいい年とった尼さんです。失....
番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
段を降り切って、大きい桜の下で客を呼んでいる煎茶の店に腰を卸した。茶店には二人の先客があった。二人ともに長い刀を一本打ち込んで、一人はこれ見よがしの唐犬びたいを....
ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
な衣裳を頭から被り、裳裾を長く揺曳した一団の印度婦人だった。 始めその婦人達は先客としての日本の男女を紹介されてちょっと気負いを挫かれた形だったが、直き又揃え....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
が、瓢箪をさげている。 一つ桟敷――東のずっと末でした――その妙に、同じような先客が、ふと気がさしたと見えて――挨拶をした時は、ふり向きもしなかったのが――お....