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「先晩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

先晩の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
彼は昔の彼ならず」より 著者:太宰治
とゆっくり、カランから湯を出して、てのひらの泡を洗いおとし、湯槽へはいった。 「先晩はどうも。」僕は流石《さすが》に恥かしい思いであった。 「いいえ。」青扇はす....
闖入者」より 著者:大阪圭吉
した事か疑いもなく南室から見える木立と同じように、明かに白緑色を呈している。 「先晩、調べてみましたがね」大月が云った。「あれは合歓木の木立でしたよ。そら、昼の....
道標」より 著者:宮本百合子
その流行はアメリカにうつって大規模なジーグフリード・フォリーズなどを生んでいる。先晩、伸子たちが同じ顔ぶれで観たもう一つの風変りなカフェーは、カフェーというより....
未開の花」より 著者:宮本百合子
い交る状態を寧ろ面白く思ってきいたのであった。 そのことはそれきり忘れていて、先晩、ある会で婦人の評論家にあった。中心の話題は文学のことであったが、偶然向い合....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
の世間話のうちに含まれて、そのすべての役目が果されてしまうわけです。 そこで、先晩は、専《もっぱ》ら下原宿の嘉助の娘のお蘭の出世が話題となり、後ろに聞いていた....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
まるじんじゃ》の鳥居から、今晩、またしても夢のように現われて来た物影があります。先晩は一人でしたが、今夜は、どうやら二人らしい。 その二人、どちらも小粒の姿で....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
《まぶた》がようやく重くなってくるのはやむを得ないことです。もうかなりの夜更け、先晩、田山白雲が仙台城下で、美にして才ある婦人と語って興が乗り、ようやく離れ座敷....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
け残ってから、千代の実父の安倍兆久とその長男、千代の兄の天鬼は千代をよんで、 「先晩きいた話では、津右衛門殿は息をひきとるまで同じ方向を指さそうとされたそうだが....
式部小路」より 著者:泉鏡花
。 止せば可いに、この貧乏くじをまた自分で買って出たのが、こけ勘なんでさ。 (先晩の麁忽は、不残手前でございます。愛吉さんは宵から寝ていて何にも知りやしねえも....