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先立つ
「先立つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
先立つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
感覚のようであった。 人々は彼等の傍を通り抜けながら、ふと優越的な気持が同情に
先立つらしく、さげすみの眼をちらと投げて行ったが、北山の眼はそんな旅行者が羨まし....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
、民族の生きた存在が意味および言語を創造するのである。両者の関係は、部分が全体に
先立つ機械的構成関係ではなくて、全体が部分を規定する有機的構成関係を示している。....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
……」 ホーテンスは目を丸くした。 「そうなんだ。事件の当夜、あの事件の発見に
先立つこと数時間前、水戸も知っているとおり僕はあの夜泥酔していて漸《ようや》く自....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
れが娘の書置なんです。走り書きの短い手紙で、よんどころない訳があって死にますから
先立つ不孝はゆるしてくださいというようなことが書いてあったので、おふくろはまたび....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
識は到底これとは比較にならない劣等なものであった。アリスタルコスはコペルニクスに
先立つことほとんど二〇〇〇年にして既にいわゆるコペルニクス説の系統の基礎をおいた....
「一坪館」より 著者:海野十三
いてくるよ」 画伯はなぐさめる顔でいった。しかし画伯は何を建てるにしても、まず
先立つものは金と資材とであることを思い、源一も自分も、そういう方にはあまりえんが....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
らしげしげと私の姿を見まもるのでした。これも生みの母なればこそ、と思えば、自ずと
先立つものは泪でございました。 不図気がついて見ると、庭先まで案内の労を執って....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
は足を張って、椅子を反りかえらせた。 「しかし、人生においても、演劇においても、
先立つものは金ですな。」小池は、圭子の顔をじっと見て苦笑した。 第三者が、冷静....
「廿九日の牡丹餅」より 著者:岡本綺堂
も身を隠さなければならない訳があるなら……。まあ当分はどこに忍んでいるにしても、
先立つものは金ですから、ともかくも当座の入用にと思って、実はここに十両のお金を持....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
その物だけを相手に判断さるべきでしょう。すべてのゴタゴタがユニックでさア。公式が
先立つわけには行かないでしょう。 クリーニング氏は夫人方の親戚へ住みこんでそッ....
「道なき道」より 著者:織田作之助
れないことよりも、まず自分のヴァイオリンが母親の眠りを邪魔をしていることの辛さが
先立つのだった。 だから、早いこと巧く弾いて、父親から「出来た」と言われようと....
「雪の夜」より 著者:織田作之助
それも照枝のためなら辛抱する、自分もまた帰りたい土地なのだと、思い立って見ても、
先立つものは旅費である。二人分二十円足らずのその金が、纒ってたまったためしもなか....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
ろう。母親のことが気になって、一分でも早く家へ帰りたかったが、しかし、それよりも
先立つのは、 「一円でも沢山持って帰ろう」 という想いであった。 食堂から洩....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
の如く燃上って来た。 然るに野心を充たすための計画は浮んで来ても、何をするにも
先立つ金を作るは決して容易でなかった。一家の葛藤を処理するための聊かの金ですらが....
「流刑地で」より 著者:カフカフランツ
たわけであります。で、この偉大な学者のかたに向って、古い慣例による刑執行とそれに
先立つ裁判手続きとをどう思われるか、おたずねしてみようではありませんか』むろん、....