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先触れ
「先触れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
先触れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
そんな風に三月続いたのだが、いきなり紀代子は豹一から離れてしまった。まるで何の
先触れもなかったのである。豹一は訳が分らなかった。彼はつまらぬ顔をして、毎日その....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
おちいった。六月十日に着いた将軍の御召馬は、言わば西から続々殺到して来る関東方の
先触れに過ぎなかった。半蔵は栄吉と相談し、年寄役とも相談の上で、おりから江戸屋敷....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
ましょう。」 「ですから、当日の泊まり客は馬籠でも分けて引き受けますよ。いずれ御
先触れが来ましょう。そうしたら、おおよそ見当がつきましょう。得右衛門さんでも馬籠....
「三人の相馬大作」より 著者:直木三十五
街道には、時々、人が通った。葉の間、枝の間から、ちらちらと、見えていた。 「
先触れも、通りませんな」 「少々、遅いが――」 人の影が見えると、二人は、津軽....
「少年と海」より 著者:加能作次郎
小さな動揺を続けました。 突然、恰もこれから攻めよせて来る海の大動乱を知らせる
先触れのよう、一きわ、きわだった大きな波が、二三|畝どこからともなく起って、入江....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
あれから宿駕籠《しゅくかご》で鷲家《わしや》村まで行った、それから伊勢路へ走ると
先触れを出しておいて、不意に浪花《なにわ》へ行く策略であったがな」 「彦根の間者....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
に自由廃業の実質的な自由を多少とも尊重する方針を取ったが、之は内務省の今の方針の
先触れをなすもので、天下の大勢がどうやら廃娼の必然性に帰着したように見えることは....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
りの人に道で行逢うと、祟りがあるっていいますから――」 「ですけれどね、わざわざ
先触れをしておいて、丑の刻詣りをする人もないもんじゃありませんか」 「それも、そ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
下に――下に――かぶり物を取りましょうぞ」 これはいわずと知れた大名のお通りの
先触れです。 どうも大名のお通りというやつは、道庵と米友の性《しょう》に合わな....
「重兵衛さんの一家」より 著者:寺田寅彦
は、たしかにその時代の新人であり、少なくも自分にとっては、来るべき「約束の国」の
先触れをする天使の役をつとめてくれたように思われる。 自分の一家がいったん東京....
「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
い空気を気もちよく吸いながら、中庭をゆったりと歩いていると、またもや俄かに変身の
先触れであるあの言うに言われぬ感じにおそわれた。そして書斎に逃げこむか逃げこまな....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
ェストミンスター★とを呑み込む手筈が出来ていると言い触らして、彼女の荘厳な出現を
先触れしていた。例の雄鶏小路の幽霊★でさえ、あの昨年の精霊も(不可思議にも独創力....
「人体解剖を看るの記」より 著者:海野十三
ると、俄かに自分の脳髄がグッと掴まれるような感じがした。よくない傾向だ。脳貧血の
先触れではないかと思うくらいだ。僕が油断をしたのがいけなかった。もう大丈夫と思っ....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
しても、まず、仕合せ」
と、将曹は、腕に繃帯をしながら
「駕脇を十分に固めて、
先触れの人数を、もっとふやすがよい。江戸まで、油断ならんぞ」
と、人々に、注意....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
! │ └───────────┘ 会が終ってから、「一杯」出るという
先触れがあったので、何時になく沢山の百姓が集っていた。「停車場のあるH町」からも....