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「克明〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

克明の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
あえずそこにはいって、人目を避けながら顔を洗わしてもらおうとした。 四十格好の克明《こくめい》らしい内儀《かみ》さんがわが事のように金盥《かなだらい》に水を移....
小さき者へ」より 著者:有島武郎
してお前達の一人か二人を連れて病院に急いだ。私がその町に住まい始めた頃働いていた克明な門徒の婆さんが病室の世話をしていた。その婆さんはお前たちの姿を見ると隠し隠....
高野聖」より 著者:泉鏡花
綿の蝙蝠傘《こうもりがさ》を一本、おきまりだね。ちょいと見ると、いやどれもこれも克明《こくめい》で分別のありそうな顔をして。 これが泊《とまり》に着くと、大形....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
、どうやら生活している。彼の知識的の妻も、解放運動などはおくびにも出さなくなり、克明に店や家庭に働いている。規矩男の母は、規矩男の養育の相談相手に、僅かに頼れる....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ている。左側の「カルバリ山の翌朝」とでも云いたい画因のものには、右端に死後強直を克明な線で現わした十字架の耶蘇があり、それに向って、怯懦な卑屈な恰好をした使徒達....
鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
供して、わしの方は一体どうなると思うんだ。田鍋のやつは、勘は鈍いが、あれで相当|克明《こくめい》でねばり強いから、そのうちにはきっと一件を感づくに違いない。そう....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
は一所に挨拶をして、上段の間を出て行きまする、親仁は両提の莨入をぶら提げながら、克明に禿頭をちゃんと据えて、てくてくと敷居を越えて、廊下へ出逢頭、わッと云う騒動....
若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
練にたちむかう、四人の姉妹の、それぞれちがった性格の描写は、まことに、明暗多彩、克明精細、しかも、この一篇にみなぎる愛と誠とは、いかなる読者の心をも魅了し、感激....
雪の日」より 著者:岡本かの子
りませんでした。その労働者達の服装も一見むさぐるしいが、よく見ればやはり独逸人の克明な清潔さがはっきり見えます。――即ち彼等の妻や娘らによって、よく洗濯されてあ....
中毒」より 著者:織田作之助
打っているのかも知れない。 けれど、逃げずに、自分の生涯にまともに向い、これを克明に描写してみたところで、何になろう。私は平凡な人間である。平凡な人生を平凡な....
わが文学修業」より 著者:織田作之助
タイルを語り物の形式に近づけた。更に言えば、戯曲の一幕はたいてい三十分か一時間を克明にうつすので時間的に窮屈極まる。そこで、小説では場面場面の描写を簡略にし、年....
役者の一生」より 著者:折口信夫
岩・播州皿屋敷の侍女お菊・「恋闇鵜飼燎」などの怪談物で、菊五郎のした女形を可なり克明にうつして、それには成功している。一体彼は容貌|風采がいいので、何をしても一....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
袍を枕許に置いてある、誰も居ねえから起きるならそこで引被けねえ。」 といったが克明な色|面に顕れ、 「おお、そして何よ、憂慮をさっしゃるな、どうもしねえ、何と....
三枚続」より 著者:泉鏡花
屋町辺の手代とも見えず、中小僧という柄にあらず、書生では無論ない。年若には似ない克明な口上振、時々ものいいの渋るといい、何でも口うつしに口上を習って路々暗誦でも....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
から、椿岳は応挙の正統の流れを汲んだ玄孫弟子であった。 馬喰町時代の椿岳の画は克明に師法を守って少しも疎そかにしなかった。その時代の若書きとして残ってるもの、....