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「兎の毛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

兎の毛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十二支考」より 著者:南方熊楠
っきりやみました。プリニウスの『博物志《ヒストリア・ナチュラリス》』八巻八一章に兎の毛で布を織り成さんと試みる者あったが皮に生えた時ほど柔らかならずかつ毛が短い....
山月記」より 著者:中島敦
。再び自分の中の人間が目を覚ました時、自分の口は兎の血に塗《まみ》れ、あたりには兎の毛が散らばっていた。これが虎としての最初の経験であった。それ以来今までにどん....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
ても植木鉢ではなく宝石をちりばめた御殿であった。花ごとに仕える特使が派遣せられ、兎の毛で作ったやわらかい刷毛でその葉を洗うのであった。牡丹は、盛装した美しい侍女....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
にも、天の一部を見せて、コバルト色に冴えわたり、若い女の呼吸のような柔かい霧が、兎の毛のように、ふうわりと白く朝空のおもてに、散らばっている。 小さな水なし谷....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
音を立ててお角の坐っていた下あたりに這い込んだらしい物の音が、急に静まり返って、兎の毛のさわる音も聞えなくなりました。 「逃げてしまいましたろうか」 「いや、逃....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
、海の方へ降って来て、お声は山のうらかけて、遠くなって行きますげな。 前刻見た兎の毛の雲じゃ、一雨来ようと思うた癖に、こりゃ心ない、荷が濡れよう、と爺どのは駆....
新女大学」より 著者:福沢諭吉
に拘らず、其兄たり弟たり姉たり妹たるを問わず、之を愛するの情は正しく同一様にして兎の毛ほどの差等もなかる可し。左れば此至親至愛の子供の身の行末を思案し、兄弟姉妹....
兎と猫」より 著者:井上紅梅
穴の底まで掘り下げて来ると、おそらく臨褥《りんじょく》の時に敷いたものであろう、兎の毛が少し交った一かさの枯草だけあって、その他はキレイさっぱりと、雪白《せっぱ....
頸飾り」より 著者:辻潤
くない家庭に生まれてくるものである。無論、持参金というようなものもなく、希望など兎の毛でついた程もなかった。まして金のある上流の紳士から眼をつけられて愛せられ、....
」より 著者:竹久夢二
四辺を見廻す) 少年(猟人の注意を自分の方へ向けるようにあせりながら)「おじさん兎の毛は白いんでしょう」 猟人「ああ、その白兎、白兎」 少年「耳が長いでしょう、....
ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
を務めるのは、長い喇叭《コルネット》を持った凛々しき六人の騎士、その後に続くは白兎の毛で縁取りした、空色の天鵞絨《びろうど》の長マントオを着、王冠を冠った「|謝....
」より 著者:中谷宇吉郎
色々やって見ていると巧いものが見付かった。それは極細い兎の腹毛であった。どうして兎の毛がよいかという理由は、後で詳しく述べることとして、とにかく兎の毛を巧い条件....
雪雑記」より 著者:中谷宇吉郎
むずかしいので、差し当り兎の細い毛に結晶をつけて発達させることとした。丁度結晶が兎の毛で吊《つる》されたような形になって出来るのである。兎の毛で吊した雪の結晶な....
オスカー・ブロズキー事件」より 著者:妹尾アキ夫
知っていますか?」 「よく知らないんです。」警部はこたえた。 「上等のフェルトは兎の毛なんですよ。兎の荒い毛のしたにはえている棉毛をシェラックで固めて作るんです....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
空気は冷たくどんよりとして、物の蔭という蔭にねばりついている。うら寂しい夫でいて兎の毛で突いたほども隙間のない引き緊った気分が、何か想像にも及ばない痛快な「だん....