»
兢
「兢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
兢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
主に下町をあらして歩いたんですが、なにしろ物騒ですから暗い晩などに外をあるくのは
兢々もので、何時だしぬけに土手っ腹を抉られるか判らないというわけです。文化のころ....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
を先頭に赤羽主任や刑事連は、釜場の梯子を上って行った。向井湯の主人も、命ぜられて
兢々と一同の後に続いて昇って行った。 由蔵の部屋は、わずか三畳敷の小室であった....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
、河田たちは半年以上ものジミな努力をしてきていた。――で、 「H・S会社」は戦々
兢々としていた。社員も職工も仕事が手につかなかった。――それは三田銀行が日本の一....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
戸ッ児本来の面目は執着を離れて常に凝滞せざるを誇りとするもの、焉んぞ死と滅亡とに
兢々たるものであろうぞ。 藪入と閻魔 藪入と閻魔とは正月と盆とに年二度の物日....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
下らしい。木挽町あたりも騒がしかった。かてて大喧嘩というところから、人心はまさに
兢々としていた。 「火消し同士の喧嘩だそうだ」「いや浅草の芸人と、武士との喧嘩だ....
「白光」より 著者:井上紅梅
大きな希望を含みながら恐怖の悲声、かげろうにも似ている西関門前の黎明の中に戦々
兢々として叫んだ。 二日目の日中、西門から十五里の万流湖の中に一つの土左衛門を....
「俳優倫理」より 著者:岸田国士
ならない。真面目であるということは、例えば、人間としての過ちを犯さない為に、戦々
兢々として日常の生活の細かい部分まで気を配って、苟くも人から誤解を受けないように....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
が棲んでいたかどうかという点については、甚だ曖昧で、質問という声が出ないかと戦々
兢々としていたのである。ところが、その講演を聴いていた一人の学生が、翌日スタンダ....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
がってしまうのである。それは榎本君からかねて言い聞かされているので、わたしは戦々
兢々として老人の眼色をうかがっていたが、それでも時々に叱られた。しかし一面には非....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
かうかした事をしたらば大変な事が起りはすまいかというような疑いを懐いて、実に戦々
兢々として居る者があるんです。
けれどもチベットの内閣というものはほとんど決断....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
』を読んでいると判ることであるが、定家は神経質で立身出世を希いつつ権力者の意向に
兢々としていた男だが、自己の芸道にかけては上皇の御心に楯ついて「傍若無人、ことわ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
る黒煙を吐いていた五、六本の大煙突の立つ真岡工業会社の内部に、私たちは今まさに、
兢々然たる胎内|潜りをやっているのだ。 パルプ、パルプ。 * ....
「「特殊部落研究号」発行の辞」より 著者:喜田貞吉
均霑すべく、いたずらに広き天地に跼蹐してその素性の露れんことをこれ恐れ、常に戦々
兢々たるものに比して、その利害得失いかんぞや。ことにつとに解放せられて、そのかつ....
「特殊部落ということについて」より 著者:喜田貞吉
位を得んが為には、必ずその素性を隠さねばならぬ。そしてその暴露を恐れて、常に戦々
兢々たるものがある。これが為に神経衰弱に陥る。暴露したが為に自殺したとか、自暴自....
「融和促進」より 著者:喜田貞吉
かりでなく、はやくその部落から離れて、立派に世間に交じっている人々でも、常に戦々
兢々として、その部落出身だという素性を隠そうと努めているのは、はたして何のためで....