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入り前
「入り前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
入り前の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
がね》の環《わ》のまわりにぐるりと何本もぶら下げたかもじ。かもじの中には「すき毛
入り前髪《まえがみ》立て」と書いた札《ふだ》も下っている。これ等のかもじはいつの....
「眉の記」より 著者:上村松園
わないものの多いのは残念である。 せっかく親から享けたあたら眉毛を剃り落し、嫁
入り前の若い身で一たん青眉にし、その上へすすきの葉のようにほそい放物線を描いたり....
「食魔」より 著者:岡本かの子
なって学校を退かされてもこれが却って身過ぎの便りとなり、下町の娘たちを引受けて嫁
入り前の躾をする私塾を開いていた。伯母も身うちには薄倖の女で、良人には早く死に訣....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
直したが、それも七草《ななくさ》を過ぎる頃からまた陰《くも》った日がつづいて、藪
入り前の十四日にはとうとう細かい雪の花をちらちら見せた。 「今夜も積もるかな」 ....
「五色蟹」より 著者:岡本綺堂
は祟りがあると言い伝えられて、いたずらの子供ですらも捕えるのを恐れていた。殊に嫁
入り前の若い女がこの蟹を見ると、一生縁遠いか、あるいはその恋に破れるか、必ず何か....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
女は肩を少しそらせて笑った。 「ほほ、御冗談でしょう。可哀そうにこれでもまだお嫁
入り前でさあね。御代参をたのまれたのは、町内の古着屋のおっかさんに……。と云い訳....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
。このあいだのように舞台で倒れるようなことがあっては大変だとみんなも心配して、中
入り前に家へ送って帰したが、それから続いて気分もすぐれないで、きょうもとうとう休....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
言って、幾村里かけて巡拝して歩くことを春の行事とした、北九州の為来りも、やはり嫁
入り前の娘のすることであった。鳥居を幾つ綴って来るとか言って、菜の花桃の花のちら....
「父」より 著者:金子ふみ子
までもその中に包みこんだ。 母は弟をおぶって私と一緒に叔母を見送った。 「お嫁
入り前のあんたを裸にして帰すなんてほんとにすまない、だけど、これも運がわるいんだ....
「猿ヶ京片耳伝説」より 著者:国枝史郎
、権と。……風呂で……」 「ヒエーッ、それじゃア手前、体を、権に! ヒエーッ、嫁
入り前の体を!」 「何云ってるのよ。権、いい人だわ、恥ずかしがり屋だわ。悪人じゃ....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
りトロッコの外側が浮き上る。浮き上った片方の車輪が空廻りした。――健達は五六人藪
入り前を、ここへ稼ぎに来ていた。仕事は危なかった。 それは空知川から水を引いて....
「盗難」より 著者:佐藤垢石
一致したのである。故郷において、私の妹が老父と共に育ててもいいのだが、妹はまだ嫁
入り前であったから、それは妹にとっては可哀相な訳合いであったのだ。 老父は、孫....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
りの年ごろに達している。彼女は、母よりも父を多くうけついだ方で、その風俗なぞも嫁
入り前の若さとしてはひどく地味づくりであるが、襟のところには娘らしい紅梅の色をの....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
車を待つ間の椅子にも項垂れて深き想いに沈んでいる。千代子の苦悩は年ごろの処女が嫁
入り前に悲しむという、その深き憂愁であろうか。 群を離れた河千鳥が汀に近く降り....
「頸の上のアンナ」より 著者:神西清
彼女はこの男が金持だと言うからこそ嫁に来たのであった。ところが彼女の懐中は嫁
入り前よりも乏しいのであった。前にはあの貧乏な父親でさえ二十コペイカ銀貨はくれた....