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入り用
「入り用〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
入り用の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
づけるのは……」
「無理だからこそあなたを見込んでお願いするんですわ。そうねえ、
入り用のない荷物を倉地さんの下宿に届けるのは何かもしれませんわね。じゃ構わないか....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
か、ね?」これはわざと聴いたのだ。 「あすこにある、わ」と、指さした。 「あれが
入り用だから、取りに来ました」 「そう?」吉弥は無関係なように長い煙管をはたいた....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
いで下さい。どうぞあなたの秘密をわたくしにお洩らし下さい。あなたにはもうなんのお
入り用もないではありませんか。たといどんな恐ろしい罪を受けようとも、永遠の神の救....
「海へ」より 著者:小川未明
ばかり離れた田舎だが、なに、汽車に乗ればすぐにゆけるところだ。大きな酒屋で小僧が
入り用だというから、そこへ龍雄をやってはどうだ。」 といいました。両親は、おじい....
「黒い人と赤いそり」より 著者:小川未明
の中に、五|人のものは、用意にとりかかりました。食べるものや、着るものや、その他
入り用のものをそりの中に積み込みました。そして、夜の明けるのを待っていました。そ....
「北海の白鳥」より 著者:小川未明
んな姿に、変えてしまったでありましょうか。 「陛下は、この国も、富も、幸福も、お
入り用ではございませんのですか。」と、最後に、魔法使いは王さまに伺いました。 「....
「二つの鞄」より 著者:香倶土三鳥
ません。 「この鞄は駄目だよ。口を開かなきゃ鞄の役に立ちはしない。中の小さな鞄が
入り用だからしかたがない。こうしてやろう」 と言いながら横腹を切り破ってしまいました。....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
ものだから。中には糸と針とはさみがはいっています。旅をして歩くと、こういうものが
入り用なのよ。なにしろわたしがそばにいて、着物のほころびを直したり、ボタンをつけ....
「一本のわら」より 著者:楠山正雄
ければならない。ちょうどこのうちの人たちはよそへ行くところらしいから、きっと馬が
入り用だろう。ここらで売って行く方が安心だ。」 こう思って、若者は、 「もしも....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
おいたんだ。夜中の丑満時《うしみつどき》になりゃ、十本あっても足りねえほど十手が
入り用になるんだから、寝るのがいやなら、そこにそうして、十手を斜に構えて、ゴーン....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
には、先代からつけて来たという覚え帳がある。諸大名宿泊のおりの人数、旅籠賃から、
入り用の風呂何本、火鉢何個、燭台何本というようなことまで、事こまかに記しつけてあ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
張して、お取り締まりもある、御陣屋|最寄りの場所はそこへ松明を取り集めて置いて、
入り用の節に渡すはずであるから、その辺のことを心得て不締まりのないようにいたせ、....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
民、これじゃ手も足も出ないじゃないか。酒は五勺以上飲むな、本家への助言もするな、
入り用な金も決して他から借りるなということになって来た。おれも、どうして年を取ろ....
「かもめ」より 著者:神西清
二十一ページ……十一と二行。……これだ。……(読む)「もしいつか、わたしの命がお
入り用になったら、いらして、お取りになってね」 トレープレフ、床の包帯をひろって....
「はつ恋」より 著者:神西清
知っています。なぜあなたは、僕をおもちゃにしたんです?……なんのために、僕の愛が
入り用だったんです?」 「申し訳ないわ、ヴォロージャ……」と、ジナイーダは言った....