入神[語句情報] » 入神

「入神〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

入神の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
人間失格」より 著者:太宰治
は手心を加える」 「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」 ほとんど入神の演技でした。そうして、自分のためには、何も、一つも、とくにならない力演なの....
映画時代」より 著者:寺田寅彦
点の弧光から発する光でスクリーンに影を映すだけのことであるが、それは実に驚くべき入神の技であった。小猿《こざる》が二匹向かい合って蚤《のみ》をとり合ったりけんか....
善の研究」より 著者:西田幾多郎
ると、こは程度の差であって性質の差ではない。想像も美術家の想像において見るが如く入神の域に達すれば、全く自己をその中に没し自己と物と全然一致して、物の活動が直《....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
あらん――と云ってね。勿論その呪文の目的は、接神の法悦を狙っている。つまり、飢餓入神を行う際に、その論法を続けると、苦行僧に幻覚の統一が起ってくると云うのだ」と....
李陵」より 著者:中島敦
左賢王《さけんおう》は、熱心な弟子となった。陵の祖父|李広《りこう》の射における入神《にゅうしん》の技などを語るとき、蕃族《ばんぞく》の青年は眸《ひとみ》をかが....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
れらには残れ、どうやら灯将に尽きんとして更に明を加うというような感がしてならぬ。入神の妙技はさて措くとしても、これも残された江戸趣味の一つとして見れば、実はここ....
錯覚数題」より 著者:寺田寅彦
うに二匹の獅子が遊び戯れ相角逐しまた跳躍しているような幻覚をひき起こさせた。真に入神の技であると思って、深い印象を刻みつけられたことであった。あやつり人形の糸の....
ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
か。はたして万吉郎か、それとも万吉郎を模倣した偽者か。 夫人は自らの作りあげた入神の技が、かくも自らを苦しめるものとは今の今まで考えなかった。もしこんなことが....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
篇を集成したるものは私でありますが、私自身をその著者というのは当らない。私はただ入神中のT女の口から発せらるる言葉を側で筆録し、そして後で整理したというに過ぎま....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
で、特に之を選んだ次第である。敲音を以て一字ずつ書き綴るのは煩わしきに過ぎ、又|入神状態に於て口で喋るのは、その全部を保存し難く、又潜在意識の闖入を、充分に防止....
鵞湖仙人」より 著者:国枝史郎
しらえの立派な大小、グイと鉄扇を握っている、足の配り、体のこなし、将しく武道では入神者。 「よい天気だな、茶を所望する」 トンと腰を置台へかけた。物やわらかい....
地上」より 著者:島田清次郎
せらぎの音に連れて忍び入る。冬子は寧ろ厳粛な、気は澄みわたり、あの鼓を打つときの入神さを感じていた。男の立派さやにじみ出る人格的の力に対抗するような、平常「虚偽....
香魚の讃」より 著者:佐藤垢石
微妙な感覚を糸の揺曳に見る。 六 伊豆の狩野川の漁師の、友釣り技術は軽妙入神の趣がある。大河ではないが、割合に長い竿で、囮鮎を入れては掛け、掛けて入れる....
謡曲と画題」より 著者:上村松園
私は小町の負けじ魂の草紙を洗う姿を描くことに思い到ったのは、全く金剛先生のこの入神の芸術を拝見したがためでありましょう。 私の草紙洗小町は、いわば金剛先生の....
平ヶ岳登攀記」より 著者:高頭仁兵衛
色があるが、有名な苗場山とは正に伯仲の間にあるものであろう、そうして苗場山を人工入神の作と見たならば、平ヶ岳は神作の拙なるものではあるまいか、絶頂から北へ向って....