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「全う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

全うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
呈していた。生き残った人間と、わずかの家畜と寄生虫とだけが地底にもぐりこんで種を全うした。 今も言った十九時過ぎのことだった。アリシア区の男学員ペンとアリシロ....
新日本の進路」より 著者:石原莞爾
よく注意せねばならぬ。「統制」はどこまでもフランス革命等によつて獲得された自由を全うするために、お互の我ままをせぬということをその根本精神とするものである。統制....
映画界手近の問題」より 著者:伊丹万作
かりの仕事には全部出勤して、ことごとく従業員としての責任と、社会人としての徳義を全うしたものばかりである。 それにもかかわらず新興キネマは、杉山、毛利、久松の....
紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
何人もまぬかるることのできない、不可抗的の終焉である。人間はいかにしてその終焉を全うすべきか、人間は必ず泣いて終焉を告げねばならぬものならば、人間は知識のあるだ....
深夜の市長」より 著者:海野十三
してあった。 「おおT市の鍵だあ。万歳!」 「ああ黄金の鍵! 私たちの使命は遂に全うせられたッ」 僕たちは鍵を高くさし上げると、感極まって互いにひしと抱き合い....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
帰朝して軍医学校に入院、それからなおって又出陣。それから終戦となり、幸いに一命は全うしたので、東京帝大の経済学部へ入学して目下勉強のところ。同君の父君は元海軍大....
駆逐されんとする文人」より 著者:内田魯庵
認められなかったからで、今日のように到る処に輪転機を運転して、機械の経済的能力を全うさせる為めに文人の頭脳をも又機械的にし、収税官史が文人の収入を算盤珠に弾き込....
火星兵団」より 著者:海野十三
に死ぬのではないか。それとも、自分だけは助るつもりであろうか。 「先生は、生命を全うされますか」 「いや、むろんわしも死ぬさ」 博士は、新田め、何をわかりきっ....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
され、激情と憎念とに充ちたままで、幽界生活に突入するほど危険なことはない。天寿を全うすることは、大自然の原則である。玉の緒は、決して人力を以て断ち切ってはならな....
迷信解」より 著者:井上円了
扇ぎおるは、必ずわれわれの上に魔術を施すに相違なかるべし、よろしく早く去りて身を全うするにしかずと思い、一物を猟せずしてむなしく家に帰りたり。そのことたちまち伝....
三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
だしく、悪政暴吏に対しては挺身|搏闘して滅ぼさざれば止まなかった沼南は孤高清節を全うした一代の潔士でもありまた闘士でもあった。が、沼南の清節は※袍弊袴で怒号した....
活人形」より 著者:泉鏡花
したりしなり。僥倖に鏡を見る時、後に近接曲者映りて、さてはと用心したればこそ身を全うし得たるなれ。 「しまった。と叫びて八蔵が、鉄棒を押取直すを、泰助ははったと....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
変じて、世間の習慣を構造し、社会の礼節を支配し、そのほか国家の秩序を保ち、独立を全うするに欠くべからざる諸元素中に加わりて相離れざるものなり。これ、宗教のその国....
西航日録」より 著者:井上円了
入り、ついに入蔵の目的を達するを得。再び白馬にむちうちて雪嶺を越え、ここに身心を全うしてカルカッタに安着せられたるは、仏教のため、および国家のために、大いに喜ぶ....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
めに、何人もこの界隈に斃れている。僕の妻の親戚などは男女九人の家族中、やっと命を全うしたのは二十前後の息子だけだった。それも火の粉を防ぐために戸板をかざして立っ....