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「全く以て〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

全く以ての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
小林氏は一向そんな事に気づかないで相変らず異様な犬歯をチラつかせながら、 「全く以て思いもかけぬ事でした。尤も娘は身体は大きい方でしたが、何を云うにも十六と....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
まり力を入れて話すので、お豊は少し笑いかけると、 「いや、笑い事じゃござんせん、全く以て昔から今まで紀州の女は、執念深いで評判じゃ、いったん思い込むと、それ鬼に....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
かおつき》に見えるものは一人もありませんでした。 「どうもなんとも困ったことで、全く以て申しわけがないことじゃ」 備前屋の主人が額《ひたい》へ手を当て当惑する....
不沈軍艦の見本」より 著者:海野十三
じゃ。もう帰って貰いましょう」 「空虚というわけではありませんぞ。わが大統領も、全く以て真剣なんです。その証拠には、ここに持って参りましたる燻製見本を一つ御風味....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
えばさようらしくもある。中元御祝儀と暑中見舞と、相変りませず御愛顧を願わなければ全く以て、食って行けない時代であるかも知れない。しかしながら、さように苦労してま....
油絵新技法」より 著者:小出楢重
云えば左様らしくもある。中元御祝儀と暑中見舞と、相変りませず御愛顧を願わなければ全く以て、食って行けない時代であるかも知れない。然し乍ら、左様に苦労してまで描か....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
い影から朝すず虫が鳴き出すのだ。ほんとに千九百三十年の私の今の文化住宅から見ると全く以て平安なる日本的情景であった。 盆が来ると寺の住職が大礼服によって出張す....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
ム、然様か。臙脂屋身代を差出しても宜いように申したと聞いたが、聢と然様か。」 「全く以て然様で。如何様の事でも致しまする。御渡しを願えますれば此上の悦びはござり....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
しい、テナことになって無罪放免で済んだが、年甲斐もなくばかなことをしたものだよ、全く以て申しわけがない」 「先生、そんなことではありません、わたしの聞いた噂とい....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
歳は二つ三つ若いようでござりまするが、あれで奥方様と同じお作りを致させますれば、全く以てわたくしたちまで見違えてしまうでござりましょう」 「その通りじゃ」 そ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
へ、入ってみようという気にはなりませんから」 「いや、甲州の山が宝の山なのじゃ、全く以てあの女の実家というものの富は、測り知ることができないほどじゃ、惜しいもの....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
いのなら、やらないとお言い、やれないのなら、やれないとはっきり言ってごらん」 「全く以て、その……」 「ふだんの広言に似合わないじゃないか、お前の日頃の口ぶりで....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
現れたる、古経典の片言隻語を以て、一般的真理なりと思考して居るから困るのである。全く以て度し難きは、かの盲信の徒である。われ等は止むことを得ず、時として何等かの....
書籍の風俗」より 著者:恩地孝四郎
皮を採り乍ら、打抜き綴じなどにするが如きは、やむを得ない場合は致し方なしとして、全く以てちゃちである。又丸背の強いものに対して余り直線的な感じの文様を附するが如....
放免考」より 著者:喜田貞吉
し、何の何某とも呼ばるるものまでが、放免の真似を為して装束の競争に与ったなどは、全く以て滑稽と謂わねばならぬ。ことに「吉記」の著者が一々それをその日記に録上して....