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全体
「全体〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
全体の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
格子《てつごうし》の中に群《むらが》った何匹かの猿を現して見せる。それからまた塀
全体は操《あやつ》り人形《にんぎょう》の舞台に変ってしまう。舞台はとにかく西洋じ....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
が、自分の心もちとぴったり来ない。字と字との間に、不純な雑音が潜んでいて、それが
全体の調和を至るところで破っている。彼は最初それを、彼の癇《かん》がたかぶってい....
「冬」より 著者:芥川竜之介
ことは確かだった。
二月に近い往来は売出しの旗などの残っていたものの、どこの町
全体も冬枯れていた。僕は坂を登りながら、僕自身も肉体的にしみじみ疲れていることを....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
ともニッケルの時計の蓋《ふた》は正確に顔を映すはずはない。小さい円の中の彼の顔は
全体に頗《すこぶ》る朦朧《もうろう》とした上、鼻ばかり非常にひろがっている。幸い....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
それは私にはわかりません。が、とにかくその力は、ちょうど地下の泉のように、この国
全体へ行き渡って居ります。まずこの力を破らなければ、おお、南無大慈大悲の泥烏須如....
「河童」より 著者:芥川竜之介
を盛った花瓶《かびん》を中にゲエルの話を聞いていました。それはたしか部屋《へや》
全体はもちろん、椅子《いす》やテエブルも白い上に細い金の縁《ふち》をとったセセッ....
「彼」より 著者:芥川竜之介
》の木はつい硝子《ガラス》窓の外に木末《こずえ》の葉を吹かせていた。その葉はまた
全体も揺《ゆ》らぎながら、細《こま》かに裂《さ》けた葉の先々をほとんど神経的に震....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
》っているような心もちがした。いや、怪しいと云ったのでは物足りない。私にはその顔
全体が、ある悪意を帯びた嘲笑を漲《みなぎ》らしているような気さえしたのである。
....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
の中を下って行った。熊笹は彼の頭を埋めて、絶えず濡れた葉を飛ばせていた。まるで森
全体が、彼の行手を遮《さえぎ》るべく、生きて動いているようであった。
彼は休み....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
その画中の人物は緑いろの光琳波《こうりんは》を描いた扇面を胸に開いていた。それは
全体の色彩の効果を強めているのに違いなかった。が、廓大鏡《かくだいきょう》に覗《....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
も、まさに天造《てんぞう》とも称すべきものです。あすこに遠峯が一つ見えましょう。
全体の布局《ふきょく》があのために、どのくらい活《い》きているかわかりません」
....
「久米正雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
生れて来るのです。そんな点で多少のクラデルなんぞを想起させる所もありますが、勿論
全体としては別段似てもいません。 こう云う特質に冷淡な人は、久米の作品を読んで....
「墓」より 著者:秋田滋
わたくしを恍惚とさせました。彼女の声は、わたくしの心を奪うのでした。彼女のからだ
全体が、それを見ているわたくしに、限りない悦びを催させるのでした。わたくしにはま....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ならべてあり、一列毎に段々と高くなり、その上には大向うの桟敷に相当する席もあり、
全体で七百人位は入れる。 この室はファラデーの時代には非常に大きい講堂として有....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
で先生のほうを見ながら、たくみに本のかげにかくれてこそこそ内緒話をしている。教室
全体がしんとしているのに、ひそかにぶつぶついう声がみなぎっているのだ。ところが突....