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「全姿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

全姿の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
なたにはあの有名な活火山が隠さねばならぬことが世にあろうかとばかり、惜しげもなく全姿をあらわした。その巓から吐き出す煙が風に靡いて静かに低く流されてゆくのがよく....
西航日録」より 著者:井上円了
に着して以来、二日間深く雲裏に潜み、その片影だも見ることを得ずして、今朝はじめて全姿を示せり。ゆえにまた、 喜麻拉亜が大和男に遇はんとて二日余りぞ化粧しにける ....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ます」 「故郷は」 「美作です」 ――というと宍戸梅軒の外れていた眼が、武蔵の全姿をきびしく見直した。 「……さっき、なんとかいったな……名だ……名だ……おめ....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
できた。ただ分らないのはお通の心なのだ。お通の眸、お通の唇、お通のことば、お通の全姿――あの髪の毛までが、絶えず自分の情熱を誘いかけて、きょうに至ったのではない....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
裾野の畑道を、もう大股に歩いていた。 片方の耳はひどく冷たいが、今朝は鮮らかに全姿を見せている駒の頂から落ちてくる風に、足元から払われて行くと、ゆうべからの疲....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
武蔵の足が、水を離れて磯の砂地を踏んだのと、巌流の大刀が――いや飛魚のような全姿が、 「喝ッ」 と、敵の体へ、すべてを打ち込んだのと、ほとんど、同時であっ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ご変名。まことの皇子名は恒性と仰せられます」 「えっ」 彼女はあきらかな驚きを全姿に見せた。――その恒性の数奇な身の上は、後醍醐に次いでは、彼女ほど詳しく知っ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ひなく推参いたしてござりまする」 さてこそ。 と、宮は生命のそそけ立ちをその全姿に見せはしたが、しかし御狼狽などではない。お驚きはすでに超えていたのである。....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
や、さらに二条三条の小さい虹が、滝を斜めに、まつわっている。那智百三十メートルの全姿を、美の女神と見るなら、虹は腰衣から垂れている五彩の紐が風に吹かれているよう....