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「全容〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

全容の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
八十八夜」より 著者:太宰治
車から降りて、走ったほうが、早いようにも思われた。実に、のろい。そろそろ八が岳の全容が、列車の北側に、八つの峯をずらりとならべて、あらわれる。笠井さんは、瞳をか....
上高地風景保護論」より 著者:小島烏水
どの大山岳に登る便利のあること、殊に大山岳は富士や八ヶ岳式の火山を除いて、とかく全容を仰ぎがたいものであるが、穂高岳、霞沢岳、焼岳などは、その威厳ある岩壁の大部....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
、四方は壮大な円形劇場のように開展する……出た……出た……木曾御嶽は、腰から上、全容を現わした、木曾駒ヶ岳も近くに立ち上った、方々から頭を白く削った稜錐状の山々....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
眼の前には焼岳の傾斜をこえて、赤く薙いだ阿房峠が低く走り、その上に乗鞍岳の頂上が全容をあらわした、左の肩の最高峰朝日岳には、雪が縦縞の白い斑を入れている、小さな....
ヴォルフの世界」より 著者:宮本百合子
その顔や手の、下の方から向けた。 皺のある大きい老職工の顔のかぶさった肉体的な全容積と頑固な形をしているくせにその仕事にかけての巧妙さを語る大きい手先とが、小....
軍用鼠」より 著者:海野十三
を入れて持ってくるのが間違いじゃ。この次から、卓子の上に置いても汚れないような完全容器に入れて来い。さもないと、もう今度は通さんぞ」 「へえい。――」 レッド....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
西の風が帝都の煙塵を吹き払うの頃、それも山地に降雪多く、ややもすれば水蒸気が山の全容を隠すことの多い十二月から二月は避けて、三月から四月へかけての雨上りの朝の如....
学生と教養」より 著者:倉田百三
た倫理学を熟読するならば、いかに著者の人間が誠実に、熱烈に、条理をつくして、その全容を表現しているかを見出して、敬慕の念を抱かずにはいられないであろう。それは文....
秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
の諸山が奔馬の如く南走している。燧岳と平ヶ岳との間には、雪を帯びた越後の駒ヶ岳が全容を露し、平ヶ岳の上には中ノ岳の円錐頂が認められた。いつも三日月形の大残雪が残....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
び杖を揮って大声に叫んだ。 正面南に劒岳が大肌脱ぎになって、恐ろしく肩幅の広い全容を曝露している。頂上は一段高く抜け上って、のし懸るように聳えているのが大鷲の....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
上流|奥鐘山の絶壁の突端から、際どく身を交しながら忽然と走り出した黒部川は、茲に全容を曝露して、白泡を噛んで六、七町の間を躍り狂って来るが、一度足元の崖下にのめ....