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全局
「全局〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
全局の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「作物の批評」より 著者:夏目漱石
意なく人のために尽さんとするの点において善人である。ただ自他の関係を知らず、眼を
全局に注ぐ能わざるがため、わが縄張《なわば》りを設けて、いい加減なところに幅を利....
「新生」より 著者:島崎藤村
の作の主人公が遠い旅から抱《いだ》いて来た心に帰って行くまでを書いて見なければ、
全局の見通しもつきかねるような作で、人生記録としてもまことに不充分なものではある....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
た閃光がひらめいて、琴のかえ手のように幽毅に、世の果ての審判のように深刻に、夜景
全局を刹那に地獄相に変貌せしめまた刹那にもとの歓楽相に戻す。それは何でもない。間....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
そ老実の思想を有する者みなこれを標準とせしものに似たり。十年以後一、二年間政論の
全局は以上に述べたるがごとし。この間において政論は幾分か高尚の点に向かって進み、....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
る議論をなすものがある。勿論、満蒙の天地が広大であり、その利害が広汎であり、その
全局の得失は極めて重大である。しかし、広東に起りたる支那の民族革命、共産主義者の....
「安重根」より 著者:谷譲次
出来事にあらず。ポウツマス条約は単に紙上に締結せられたるのみ。これが実行の場合、
全局の政策と衝突するの点尠しとせず。ことに北満における日露の商工的利害に関し最も....
「イズムの功過」より 著者:夏目漱石
、自《おのずか》ら覆《くつがえ》るの未来を早めつつある事に気がつくだろう。人生の
全局面を蔽《おお》う大輪廓を描いて、未来をその中に追い込もうとするよりも、茫漠《....
「三十年後の世界」より 著者:海野十三
ない。みなさん、ゆだんなく気をつけて下さい」 通信局長のスミレ女史は、とうとう
全局員に対し、警戒を命じた。 計算によると、あと二週間で、火星に達するあたりま....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
との間に含まれる三角形は、モン・サン・ジャンの高地である。その高地の争奪が戦いの
全局であった。
両軍の両翼は、ジュナップの道とニヴェルの道との左右に延びている....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
時読んでいた。間をおいては父の名前が出てき、絶えず皇帝の名前が出てきた。大帝国の
全局が現われてきた。彼は自分のうちに、潮のようなものがふくれ上がりわき上がってく....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
利用して反対に身を脱するのが、元気な者のみごとな策略である。ガヴローシュは一目で
全局を見て取った。彼を危険に陥れたのは荷車だった、そしてこんどは荷車が彼を保護す....
「将棋の鬼」より 著者:坂口安吾
強いだけの話である。 昔、木村名人は双葉山を評して、将棋では序盤に位負けすると
全局押されて負けてしまう、横綱だからと云って相手の声で立ち位負けしてはヤッパリ負....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
腕の問題ではない。当る方がおかしいのだ。こういうものは、むしろ当らない易の方が、
全局的に見て、その人の全貌をつかむ合理性を含んでいると思うのである。 六ツ七ツ....
「「生活」+「戦争」+「競技」÷0=能」より 著者:癋見鈍太郎
ない人間美の現われでなければならぬ。更にその中で、毅然として勝敗の外に立ちつつ、
全局を支配して行く名将の心境(というものがあるとすれば)、それこそ正に舞曲を以て....
「西航日録」より 著者:井上円了
国的にして大国的にあらず、一時に急激なるも、永く堅忍するあたわず、小事に拘泥して
全局をみるの識見に乏し。人を品評し褒貶するに巧みなるも、自ら進取し実行するの勇を....