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「全巻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
全巻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
及んだ。余も気の毒に思ったが、多々羅三平の件をことごとく削除《さくじょ》しては、
全巻を改板《かいはん》する事になるから、簡潔|明瞭《めいりょう》に多々羅三平は股....
「読書法」より 著者:戸坂潤
で、ハンドブックとして役立つ性質を充分に備えているのである。だが勿論、重点は之が
全巻、唯物論的観点によって貫かれているということにあり、又そこから当然出て来るこ....
「夢の殺人」より 著者:浜尾四郎
俳優が、主役になっている映画には、殺人狂とさえ思われる人物が活躍した。その人物は
全巻を通じて何十人という人間を斬り殺したり、突き殺したりした。 刀がぎらりと閃....
「仇討たれ戯作」より 著者:林不忘
も同じようなものであった。忍術とか鬼火、妖狐、白髪の仙人、夢枕というような場面が
全巻いたるところに散見して、一様に血みどろの暗い物語であった。 貼外題《はりげ....
「ルクレチウスと科学」より 著者:寺田寅彦
とすればどうであろう。これはいうまでもなく全然落第でありゼロである。なんとなれば
全巻を通じて簡単な代数式一つなく、またなんらの簡易な器械を用いていかなる量を測定....
「連句雑俎」より 著者:寺田寅彦
あたかも静寂な暮れ方の空をいろどる夕ばえのごとき明るくはなやかなさびしさをもって
全巻のカデンツァをかなでることになっているのである。 以上のごとく考えて来ると....
「映画雑感(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
画の最もすぐれた長所であり、そうして容易にまねのできそうもないと思われる美点は、
全巻を通じて流れている美しい時間的律動とその調節の上に現われたこの監督の鋭敏な肌....
「科学論」より 著者:戸坂潤
るかに就いては、レーニンが巨細に分析し批判した処である(『唯物論と経験批判論』の
全巻を通覧)。 * 「科学の哲学」に就いては他にE・ゴブロー、G・ミヨ、A・ララ....
「変った話」より 著者:寺田寅彦
三十章を一と息に読んでしまった。そうしてその後二、三回の電車の道中に知らず知らず
全巻を卒業してしまったのである。 不思議なことには、このドイツ語で紹介された老....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
れを取り上げて見ると、唐太宗親筆の序――王右軍の筆蹟――独眼竜の一つの目が、その
全巻の中へ燃え落ちるばかりになっているのを見て、急に驚き出したのは細川三斎であっ....
「『井伏鱒二選集』後記」より 著者:太宰治
だ。出来ないのではなくて、しないのである。 それゆえ、これから私が、この選集の
全巻の解説をするに当っても、その個々の作品にまつわる私自身の追憶、或いは、井伏さ....
「徒然草の鑑賞」より 著者:寺田寅彦
は古くからその時代に伝わったものをそのままに継承したに過ぎないであろう。とにかく
全巻を通じて無常を説き遁世をすすめ生死の一大事を覚悟すべしと説いたものが甚だ多い....
「我が円朝研究」より 著者:正岡容
」とかいってしまうのも、じつにこの老人らしくて巧い。繰り返していうが「牡丹燈籠」
全巻を通じて最も活き活きと描かれてるのはこの相川新五兵衛ではあるとおもう。 同....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
これに関する著述の出版また尠《すくな》からざりき。然れども特に一画家を選み来つて
全巻これが研究に費せしものなし。ゴンクウルの歌麿伝は正にその鼻祖《びそ》なり(欧....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
く豪奢に、または絵巻物のようにあわれふかくしたものが、特に丹念に選び集められて、
全巻を飾っているのである。そして、そのような傾向の歌が、一番新時代的なものであっ....