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「全心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

全心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
青木の出京」より 著者:菊池寛
な、皮肉な、人を頭から嘲《あざけ》っているような、苦笑をもらした。雄吉は、自分の全心を投じた親切を、青木のために、こんなに手ひどく扱われながら、それでも青木が、....
蒲団」より 著者:田山花袋
を感じたに相違ないけれど、芳子の心にしては、絶対に信頼して――今回の恋のことにも全心を挙げて同情してくれた師の家に行って住むことは別に甚しい苦痛でも無かった。寧....
狂乱」より 著者:近松秋江
。そして決然としてすぐにも東京へ帰って行って、多年女ゆえに怠っている自分の天職に全心を傾倒しよう。どうかして、そういう心になりたい、と思いながら、私は、膝の前に....
生の拡充」より 著者:大杉栄
ある。芸術の境である。 かつこの境にある間、かの征服の事実に対する僕の意識は、全心的にもっとも明瞭なる時である。僕の自我は、僕の生は、もっとも確実に樹立した時....
ウィリアム・ウィルスン」より 著者:佐々木直次郎
うな、氷のように冷たい感じが体じゅうにしみわたった。胸はむかつき、膝はよろめき、全心は対象のない、しかし堪えがたい恐怖に襲われた。息をしようとして喘ぎながら、私....
小春」より 著者:国木田独歩
ついて自分の観るところを語った。 『ちょうど君の年だった、僕がウォーズウォルスに全心を打ちこんだのは。その熱心の度は決して君の今画に対する熱心に譲らなかった。君....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
れでも大多数の者は、すでに疑いもなくゾシマ長老の味方であった。しかもその中には、全心を打ちこんで熱烈|真摯《しんし》に彼を愛している者も少なくなかった。ある者に....
椎の木」より 著者:豊島与志雄
「よろしい。」とやがて川村さんは云った。「その代り、誓ってくれるだろうね。君の全心をあげて誓ってくれ。それを決して使わないで、ただ預っておくだけだと……。」 ....
死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
。」と彼女は言った。「おじちゃまよ。」 ああ、世にただひとりの者だけを熱愛し、全心をかたむけてそれを愛し、それが自分の前にいて、むこうでもこちらを見また眺め、....
ジロリの女」より 著者:坂口安吾
だ。いわば三人の御婦人は私の可愛いゝ敵であるが、汝の敵を愛せという、まさしく私は全心的にわが敵を愛しもし、尊敬したいとも考える。 私はわが敵を尊敬したいから、....
一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
造の仕事にもよき助手として働くことを惜しまなかったが、都会において受けた教養と、全心全霊を打ち込まねば止まぬ性格と、それには周囲があまりに相違した。その中で長女....
フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
、どうしてそんなことができよう。けれども、この知識は眼に見えて進歩したとはいえ、全心を捧げて努力しても、会話だってろくすっぽわかりっこはなかった。わたしは、家の....
安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
窮するほど男はわが一人の腕で一家を支え、亭主関白たる貫禄を実力的に保持するために全心全霊をあげて悪戦苦闘すべきであって、コンリンザイ生活のために女房を働かせては....
地上」より 著者:島田清次郎
」 「綾子さんか、そんなに邪魔なら僕がもらおうかしら」 三人はいつしかお互いに全心の力で緊張し合わねばならなかった。 「それはもう! 綾子も君のこととなると特....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
は神を畏れ、彼女の運命を傷つけることを怖れて重々しく、大切に、彼女を損わぬように全心を傾けています。 しかしあるいは私のような病弱な者を恋せねばならぬのが彼女....