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全村
「全村〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
全村の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「芽生」より 著者:島崎藤村
れると、よく私は家を飛出して、そこいらへ気息《いき》を吐《つ》きに行った。大久保
全村が私には大きな花園のような思をさせた。激しい気候を相手にする山の上の農夫に比....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
ね。先生のお話じゃ、毎年門人がふえるというじゃありませんか。」 「ある村なぞは、
全村平田の信奉者だと言ってもいいくらいでしょう。そのくせ、松沢義章という人が行商....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
の大きな沢を行く先に見つけることもできる。蘭はこの谷に添い、山に倚っている村だ。
全村が生活の主な資本を山林に仰いで、木曾名物の手工業に親代々からの熟練を見せてい....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
も難渋に、山の林にでもすがるよりほかに立つ瀬のないものは勢い盗伐に流れる。中には
全村こぞって厳重な山林規則に触れ、毎戸かわるがわる一人ずつの犠牲者を長野裁判所の....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
民がそれに応じない。すると、その労働者と農民との政府は、すぐに懲罰隊をくりだす。
全村が焼き払われる。男はみな殺される。女子供までも鞭うたれる。そして最後の麦粉ま....
「転機」より 著者:伊藤野枝
つより他はなくなった。しかし、それから、もう十年の月日が経った。工事も済んで谷中
全村の広い地域は、高い堤防を囲まれた一大貯水池になった。そして河の増水のたびに、....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
知れた。 この船はとりもなおさず大不安を未荘に運んでくれて、昼にもならぬうちに
全村の人心は非常に動揺した。船の使命はもとより趙家の極秘であったが、茶館や酒屋の....
「中庸」より 著者:坂口安吾
る。あげくに発狂して助役を放火犯人とよび頭の鉢をわられるに至ったと云われている。
全村あげて余の噂を笑い楽しむ如くである。 余の無能、余の発狂、二つながらたぶん....
「火の扉」より 著者:岸田国士
うそここゝのリンゴ畑にほの白い花がちらほらと咲きはじめていた。 市ノ瀬牧人は、
全村の麦の育ち加減をみて歩くかたわら、冬の肥料のおそろしく不足した果樹にもひとと....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
ように舞台を造っていたが、夜になると浪花節でもやるのだろう。そして、その時こそは
全村老若こぞって参集するのかも知れない。 三匹の獅子は青年がやる。これに対して....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
て全国へ売りさばかれるのだそうだ。 下仁田はコンニャクのほかにネギも名産地で、
全村コンニャクとネギ以外に何もないそうだ。友人宅の女中となった娘は米の代わりにコ....
「瘤」より 著者:犬田卯
統」であった。反津本派で通った親父の忰も、同様に反津本派でなければならぬ。そして
全村内で反津本派と目されているのは、現助役の杉谷と他の三人の村議――それから有志....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
人は早くから戸を鎖ざして、海から吹いて来る寒い風をふせぎ、一日の労働――この頃は
全村こぞって、牡蠣を殻からこわして出す見るから冷たそうな仕事を一日じゅうしていま....
「西航日録」より 著者:井上円了
、風邪のためにこれを果たさざるは遺憾なり。同村は相応に戸数を有する一部落にして、
全村クエーカー宗の信徒なり。村民の品行勤倹、実に一国の模範となれり。アイルランド....
「特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ」より 著者:喜田貞吉
す。これはもと万歳・春駒などをやっていたものでありまして、その流れを汲んで今以て
全村の八九割までが俳優であります。生活程度も向上してもはや特殊部落として改善を呼....