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「全治〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

全治の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
病《やまい》はと被仰《おおせられ》し時、すでに快癒の後《のち》なりしかば、すきと全治《ぜんじ》、ただいまでは人をも把《と》り兼《か》ねませぬと申し上げし所、清八....
或る女」より 著者:有島武郎
て、内膜炎は内膜炎を抉掻《けっそう》する事によって、それが器械的の発病である限り全治の見込みはあるが、位置矯正の場合などに施術者《しじゅつしゃ》の不注意から子宮....
芽生」より 著者:島崎藤村
を吐《つ》いた。 小児科のことで、隣の広い室には多勢子供の患者が居た。そこには全治する見込の無いものでも世話するとかで、死後は解剖されるという約束で来ているも....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
る。両手を振りながら歓呼をもあげている。その一人が伯父の寿平次だった。長い痔疾の全治した喜びのあまりに、同病|相憐んで来た伯父たちは夢中になって河岸をかけ回り、....
近況報告」より 著者:坂口安吾
せんだっても血を吐いたが、医者の命令の五分の一だけ守って、五分の一の日数で簡単に全治した。数年間の不健康をこの機会にとりかえすつもりで、なるべく最小限の仕事しか....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
ガブリ四ツになったハズミに、不動岩の歯が新川の眉間へソックリくいこんだのである。全治二ヵ月、人相は一変しそれ以来、目がわるく、夜はメクラ同然、相撲がとれなくなっ....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
降すと、そこにいるうちは治った状態になる。これを徐々に上昇させて、くり返すうちに全治させる方法であった。 幸い清松は軽症だった。肩から両手にかけて、又、膝の下....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
る川根を足蹴にして、階段から突き落したこともあった。そのために川根は手首を折り、全治に長い日数を要した。また、火箸でミケンを割られて、その傷跡がミミズのように残....
怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
眼を患ったのを、廻国の六十六部が祈祷して、薬師の水というのを付けてくれた。それで全治してから後は、不思議に夜目が利くようになったのであった。 野獣の眼が暗夜に....
深川女房」より 著者:小栗風葉
四五年前にも同じ病気に罹ったのであるが、その時は急発であるとともに三週間ばかりで全治したが、今度のはジリジリと来て、長い代りには前ほどに苦しまぬので、下腹や腰の....
」より 著者:佐藤垢石
して掻き割いたらしい。 八 すぐ東京へ帰って医者の治療を受けた。医者は、全治するまで絶対に水に入ってはならぬという。 十日ばかり、東京に辛抱していたけ....
妖怪学」より 著者:井上円了
曰く、「本術はいかなる重症難患といえども、薬石を用いず診断を要せずして、たやすく全治することを得る奇法なり」と。余、その語によりて、催眠術を治療法に用いて効験あ....
迷信解」より 著者:井上円了
癒ゆるにも両面あると考えてよろしい。例えば、肉体の方にて種々の療法を尽くし、十分全治の見込みあるに、精神の方にてあまり病気を懸念せるために、その効の見えざること....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
治見の旅興行先で、法界坊の宙乗りを仕損じて舞台に落ちて、右の足をくじいた。幸いに全治したが、その後は右の足が自由を欠いて、舞台の上では幾分か跛足をひくようになっ....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
帳につくを免れずと云うのは死ぬより他に仕方は無いが、最初の内に早く切断法を施せば全治を万一に見ることが出来よう」 と、種々むずかしい講釈が有りましたれども、切....