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全的
「全的〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
全的の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「想片」より 著者:有島武郎
命のゆゆしい退縮である。マルクスはその生命観において、物心の区別を知らないほどに
全的要求を持った人であったということができると私は思う。私はマルクスの唯物史観を....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
つの主義のかくまでの力強さは何処にあるか。それは、縦令不完全であろうとも、個性の
全的要求が生み出した主義だからである。社会主義者は自ら人間の社会的本能が生み出し....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
。ぶつかりたい。偉大な価値と意義ある生命のクライシスにぶつかりたい。そして生命の
全的なる肯定あるいは否定がしたい。 こう思って私は飢えたるもののごとく女を探し....
「青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
せてもらってウットリさせられたりするけれども、私自身が自然の媚態と化してただもう
全的に男のために私自身をささげるときは、感謝によるのであった。要するに私は天性の....
「神サマを生んだ人々」より 著者:坂口安吾
マの代りぐらいだったら、他に実効を得る方法は少くないでしょう。宗教の実効はもっと
全的なものでなくちゃア、ウソですな。ねえ、大巻先生。そうでしょう。川野先生はどこ....
「織田信長」より 著者:坂口安吾
もよかった信長は、その故に生とは何ものであるか、最もよく知っていた。生きるとは、
全的なる遊びである。すべての苦心経営を、すべての勘考を、すべての魂を、イノチをか....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
る。これを因果物というのである。 東京パレスに於ては、アベコベだ。彼らの睨みは
全的であるけれども、福徳円満である。持てる者は、どうしても、そうなる。しかも彼の....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
すこし表現が大ゲサにすぎると私は思うのです。実に一部のちょッとした故障でラジオが
全的にきこえなくなったようなものらしいや。記憶を全部忘れるという結果は大きい変化....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
他何々の待遇改善要求があったのだが、コンニャクはカルシューム也という一撃によって
全的に闘志を失い、もろくも敗北したという戦史があるのである。 つまり患者の方で....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
いから、生前の知友としてはかえって能くしがたい私情がある。故人の瑜瑕並び蔽わざる
全的生活は他日再び伝うる機会があるかも知れないが、今日はマダその時機でない。かつ....
「机前に空しく過ぐ」より 著者:小川未明
間は、いかなる職業にあっても、その心がけが、社会のためにつくすという一事に於て、
全的生涯が完うされるものだということを感じているのであります。 善良な理髪師の....
「単純化は唯一の武器だ」より 著者:小川未明
、目的への手段でもなければ、未来への段階と解すべき筈のものでもない。それ自から、
全的の価値を有するものだ、たゞ、我等に、犠牲的精神あるのは、共感を信じ、光明を未....
「文化線の低下」より 著者:小川未明
、もしくは、政治的目的意識によって階級観念を植付けんとするもの等であって、人間の
全的の感情を養い套習の覊絆から解放し、自由の何たるかを知らせんとする、真の文学の....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ば、一局部の兆候だけですぐに極めてかかるのは飛んだことになりやしないか。漢法では
全的に見るのだ。むしろ直覚的にだね。僕の知っているH老先生なぞは、患者の顔色を見....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
der Harmonie セバスチァン・バッハの気高い偉大な芸術に対して私の心は
全的に鼓動する。 (ホーフマイスターに、一八〇一年) ※ どんなと....