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全身
「全身〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
全身の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
て、知れたものだわ。そうすれば、あなたもわたしも、いいじゃないの。」
次郎は、
全身に水を浴びせられたような心もちがした。
「兄きを殺す!」
沙金《しゃきん》....
「影」より 著者:芥川竜之介
の何物かの眼が、窓を後にした房子の顔へ、まともに視線を焼きつけている。
房子は
全身の戦慄《せんりつ》と闘いながら、手近の壁へ手をのばすと、咄嗟《とっさ》に電燈....
「河童」より 著者:芥川竜之介
だにこの音楽家を目の敵《かたき》にしているのだとかいうことです。
クラバックは
全身に情熱をこめ、戦うようにピアノを弾《ひ》きつづけました。すると突然会場の中に....
「沼地」より 著者:芥川竜之介
間から購《あがな》い得た唯一《ゆいいつ》の報酬《ほうしゅう》だったのである。私は
全身に異様な戦慄《せんりつ》を感じて、三度《みたび》この憂鬱な油画を覗いて見た。....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
狼狽《ろうばい》の視線を飛ばせた。するとそこには素戔嗚《すさのお》が、油火の光を
全身に浴びて、顔中に怒りを漲《みなぎ》らせながら、小山のごとく戸口を塞《ふさ》い....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
《くりかえ》した。
「お前も大元気にやってくれ。」
こう云われた堀尾一等卒は、
全身の筋肉が硬化《こうか》したように、直立不動の姿勢になった。幅の広い肩、大きな....
「或る女」より 著者:有島武郎
部を後ろにかばいながら、健気《けなげ》にもか弱い女の手一つで戦った。そして木部の
全身全霊を爪《つめ》の先《さき》想《おも》いの果てまで自分のものにしなければ、死....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
えも心のどこかに囁かないでもなかったのですが、次ぎの瞬間には例の負けぎらいが私の
全身を包んで了うのでした。『良人は自分の眼の前で打死したではないか……憎いのはあ....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
宗教、純真な尊敬の宗教を唱道する。人間は神に対し、同胞に対し、又汝自身に対して、
全身全霊をささげて尽すべき責務がある。かの徒らに暗中に摸索し神学的虚構物につきて....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
か小声に話していた。のみならず仏蘭西語を使っていた。僕は彼等に背中を向けたまま、
全身に彼等の視線を感じた。それは実際電波のように僕の体にこたえるものだった。彼等....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
倒れる音も聞えたようです。遠藤は殆ど気違いのように、妙子の名前を呼びかけながら、
全身の力を肩に集めて、何度も入口の戸へぶつかりました。 板の裂ける音、錠のはね....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
登り路の方が好い、何時までも押させてくれるから」――良平はそんな事を考えながら、
全身でトロッコを押すようにした。 蜜柑畑の間を登りつめると、急に線路は下りにな....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
だった。ドアを開けてみると借家人の某氏は、われと我が生命を断った拳銃を握ったまま
全身あけに染って打倒れていた。 某氏(五七)はかなり楽な生活をしていた人で、幸....
「寡婦」より 著者:秋田滋
の者は、父から子へ、子からまたその子へと、皆な親ゆずりの激しい情熱をもっていて、
全身がその熱でもえ、それがこの人たちを駆って、とんでもない熱狂的なことをさせたり....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
二、三日前飛んできたB29のまいたビラを読んで、薄々は感づいていたものの、まるで
全身が空洞になったような虚脱感に襲われた。私はこれまで何度か死線をさまよった。早....