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「全身全霊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

全身全霊の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
部を後ろにかばいながら、健気《けなげ》にもか弱い女の手一つで戦った。そして木部の全身全霊を爪《つめ》の先《さき》想《おも》いの果てまで自分のものにしなければ、死....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
い手一つだけを覚えるのみであった。時江は十四郎そのものの正確な写像であり、滝人の全身全霊が、それにかけられていたのではなかったか。そのように、最後の幻までも奪い....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
かりなる銀の十字の柱が、厳然と押立てられて、少年はその銀の十字の柱を対象として、全身全霊を以て礼拝している。今や、白雲自身が、今夜いままでのあらゆる紛々たる感覚....
夏の花」より 著者:原民喜
水を、水を、水を下さい、……ああ、……お母さん、……姉さん、……光ちゃん」と声は全身全霊を引裂くように迸《ほとばし》り、「ウウ、ウウ」と苦痛に追いまくられる喘《....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
宗教、純真な尊敬の宗教を唱道する。人間は神に対し、同胞に対し、又汝自身に対して、全身全霊をささげて尽すべき責務がある。かの徒らに暗中に摸索し神学的虚構物につきて....
青春論」より 著者:坂口安吾
悪魔はないけれども、かくの如く絶対にして、かくの如く厳たる存在も亦すくない。僕は全身全霊をかけて孤独を呪う。全身全霊をかけるが故に、又、孤独ほど僕を救い、僕を慰....
将棋の鬼」より 著者:坂口安吾
もの、ハッとかゞみ、又、ネジ曲げ、ネジ起し、ウヽと唸り、やられましたか、と呻き、全身全霊の大苦悶、三十一分。勝負というものは凄惨なものである。 将棋までハッタ....
人生における離合について」より 著者:倉田百三
の交わり」とか「血を啜って結盟する」とか「二世かけてちぎる」とかいうような、深い全身全霊をかけての結合をせねばやまない激しいところを持っている。これが対人関係に....
可愛い女」より 著者:神西清
ているのはそんなものだろうか? いやいや彼女の欲しいのは、同じ愛といっても自分の全身全霊を、魂のありったけ理性のありったけを、ぎゅっと引っつかんでくれるような愛....
火の扉」より 著者:岸田国士
原ミユキは耳のそばでさゝやく老夫人の言葉にうわの空で、なんべんもうなずきながら、全身全霊をうちこむとはこのことかと思われる井出夫人の感情をこめた演奏ぶりに魂を奪....
決闘」より 著者:神西清
しい。文明の何かを知らぬ自然児が羨ましい』などと言う。してみると奴はかつての昔、全身全霊を挙げて文明に捧げたことがあると見える。文明に仕え、文明の奥の奥まで理解....