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全霊
「全霊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
全霊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
に、ケーベル博士からののしられたヴァイオリンの一手も奏《かな》でたりした。木部の
全霊はただ一目《ひとめ》でこの美しい才気のみなぎりあふれた葉子の容姿に吸い込まれ....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
一つだけを覚えるのみであった。時江は十四郎そのものの正確な写像であり、滝人の全身
全霊が、それにかけられていたのではなかったか。そのように、最後の幻までも奪い去ら....
「金属人間」より 著者:海野十三
は、よほど大切な試験材料がおいてあるらしいね」 「試験材料というよりも、わたしが
全霊全力《ぜんれいぜんりょく》をうちこんで作った試作生物《しさくせいぶつ》なんで....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
、純真な尊敬の宗教を唱道する。人間は神に対し、同胞に対し、又汝自身に対して、全身
全霊をささげて尽すべき責務がある。かの徒らに暗中に摸索し神学的虚構物につきて好事....
「青春論」より 著者:坂口安吾
はないけれども、かくの如く絶対にして、かくの如く厳たる存在も亦すくない。僕は全身
全霊をかけて孤独を呪う。全身
全霊をかけるが故に、又、孤独ほど僕を救い、僕を慰めて....
「将棋の鬼」より 著者:坂口安吾
、ハッとかゞみ、又、ネジ曲げ、ネジ起し、ウヽと唸り、やられましたか、と呻き、全身
全霊の大苦悶、三十一分。勝負というものは凄惨なものである。 将棋までハッタリで....
「神サマを生んだ人々」より 著者:坂口安吾
ミに片手をついて身を支え、目を軽く閉じて、まるで失心しているような様子であった。
全霊をあげたあとという感じであった。そこにも性慾を絶したものを大巻博士は見たので....
「人生における離合について」より 著者:倉田百三
わり」とか「血を啜って結盟する」とか「二世かけてちぎる」とかいうような、深い全身
全霊をかけての結合をせねばやまない激しいところを持っている。これが対人関係におけ....
「可愛い女」より 著者:神西清
るのはそんなものだろうか? いやいや彼女の欲しいのは、同じ愛といっても自分の全身
全霊を、魂のありったけ理性のありったけを、ぎゅっと引っつかんでくれるような愛、自....
「火の扉」より 著者:岸田国士
ユキは耳のそばでさゝやく老夫人の言葉にうわの空で、なんべんもうなずきながら、全身
全霊をうちこむとはこのことかと思われる井出夫人の感情をこめた演奏ぶりに魂を奪われ....
「決闘」より 著者:神西清
。文明の何かを知らぬ自然児が羨ましい』などと言う。してみると奴はかつての昔、全身
全霊を挙げて文明に捧げたことがあると見える。文明に仕え、文明の奥の奥まで理解した....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
るほど男はわが一人の腕で一家を支え、亭主関白たる貫禄を実力的に保持するために全心
全霊をあげて悪戦苦闘すべきであって、コンリンザイ生活のために女房を働かせてはなり....
「広告」より 著者:伊丹万作
を感じた。 しかし、いま彼の句を見て、その到達している高さを感じ、彼の全生活、
全霊が十七字の中にいかに生き切つているかを知つて、私は自分の考えをいくぶん訂正す....
「情鬼」より 著者:大倉燁子
れてやっとある理を感得しました。そしてもうお遺骨を抱いていなくても、小田切さんの
全霊は私の心の中に生きていると思うようになりましたので、今はもうお遺骨には何の執....
「鷺娘」より 著者:大倉燁子
けつけた。彼女はもう死者狂い、耻を掻かされた家元への吊合戦だ。悲壮な決心で鷺娘に
全霊を打ち込んだのだったが、悲しいことには百合子の芸には独特の持ち味もなければ、....