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「八の字〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

八の字の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
て、 ――もう一度、これを茹でればようござる。 と云った。 内供はやはり、八の字をよせたまま不服らしい顔をして、弟子の僧の云うなりになっていた。 さて二....
或る女」より 著者:有島武郎
美しい弧を描いて延びていた眉《まゆ》は、めちゃくちゃにゆがんで、眉間《みけん》の八の字の所に近々と寄り集まった。かさかさにかわききった口びるからは吐く息気《いき....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
て忌々《いまいま》しと云う風で顔に一方ならぬ不機嫌の色を浮べて居る、殆ど眉の間に八の字の皺を寄せて居ると云っても好い、彼は余の顔を見て「オヤ丸部さんですか」と云....
婦系図」より 著者:泉鏡花
ヤリと笑ったのが目に附くと同時に、四五人|店前を塞いだ書生が、こなたを見向いて、八の字が崩れ、九の字が分れたかと一同に立騒いで、よう、と声を懸ける、万歳、と云う....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
それに正面して、箱根火山の外廓が、目ま苦しいまでの内部の小刻みを大まかに包んで、八の字状に斉整した端線を投げ掛けたところは、正に、天下の三大描線で、広々とした裾....
怪塔王」より 著者:海野十三
てたまらなくなったのでしょう。 「これはいかん」 小浜兵曹長の眉が、苦しそうに八の字に寄りました。部下の危難を目の前にみていることは、つらいことでした。 「は....
露肆」より 著者:泉鏡花
へ垂らして、環珠数を掛けた、鼻の長い、頤のこけた、小鼻と目が窪んで、飛出した形の八の字眉。大きな口の下唇を反らして、かッくりと抜衣紋。長々と力なげに手を伸ばして....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ごと折ったり、何かするのですもの……。』 そう言って、梅の精はそのきれいな眉に八の字を寄せましたが、私にはそれが却って可愛らしくてなりませんでした。 『でも、....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
はらした眼をふくと、ヘルマンのほうへ向いた。彼は腕組みをしながら、ひたいに残忍な八の字をよせて、窓のきわに腰をかけていた。こうしていると、まったく彼はナポレオン....
次郎物語」より 著者:下村湖人
ねだった。 「おやつなんか、あるもんですか、こんなに散らかして。」 春子は眉を八の字によせて竜一を睨んだが、本気で怒っているようなふうには、ちっとも見えなかっ....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
ずめ、ハットを眼深にかぶっているが、色白の秀麗な眉目は隠しきれない。美髯をピンと八の字にはねて、年のころは二十六七、三十がらみという青年紳士である。手にはかなり....
髭の謎」より 著者:小酒井不木
ケットから物差しを出して先生の髭の長さを計りかけました。先生の口髭は立派な漆黒の八の字で、延びるだけ延ばしてありました。顎から頬へかけての鬚髯はありませんが、病....
おせん」より 著者:邦枝完二
七 足もとに、尾花の影は淡かった。 「なんだい」 「なんだかよく見さっし」八の字を深くしながら、寄せた松五|郎の眼先を、ちらとかすめたのは、鶯の糞をいれて....
曲亭馬琴」より 著者:邦枝完二
途で止めにした腹立たしさも手伝ったのであろう。笑顔ひとつ見せずに、こういって額へ八の字を寄せた。 それでも京山の腹痛は二時《ふたとき》ばかりのうちに次第におさ....
春泥」より 著者:久保田万太郎
ったか? ――気にしていたんだ、俺は……」 「そうなってからだ、しょッちゅう額に八の字をよせるようになったのは。」三浦はいった。「不思議に、今日は、はじめッから....