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八分目
「八分目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
八分目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
風が息気《いき》のつまるほどふきかかるのを彼れは快く思った。やがて馬場《ばば》を
八分目ほど廻った頃を計《はか》って手綱をゆるめると馬は思い存分|頸《くび》を延ば....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
正面へ。 開放した障子を洩れて、だらりと裾を引いた萌黄の蚊帳を横にして、廊下の
八分目ぐらいな処で、 「便所か。」 と云う、髯、口許が明々として、洋燈を翳す。....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
行く、帰りがけにはちゃんと開けてあった。それを見た人は色々で、細目の時もあり、七
八分目の時もあり、開放しの時もあった、と言う。 さて、そのときまでは、言ったご....
「ふしぎ国探検」より 著者:海野十三
流れだした。すると大きなビーカーが動きだして、水を受けた。 水はビーカーの中に
八分目ぐらい入った。水道の栓がひとりでに動いて、水がとまる。こんどはビーカーが実....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
入れて、それを茶で掻廻して喫べる位のもので、それも腹一ぱい喰べればいいけれども腹
八分目とまではいかない。いつでも半分位で辛抱してろくに茶を飲むことも出来ず水を呑....
「真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
る、酒を出しねえ、冷たくっても宜《い》いや」
と燗冷《かんざま》しの酒を湯呑に
八分目ばかりも酌《つ》いで飲み、
新「お前《めえ》も飲みねえ」
と互に飲んで....
「雪の宿り」より 著者:神西清
つぐんだ。流石に疲れが出たのであろう、傍らの冷えた大|湯呑をとり上げると、その七
八分目まで一思いに煽って、そのまま座を立った。風はいつの間にかやんでいる。厠の縁....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
経済の平均のとれるレストランに対抗出来兼ねるのであります。 総じて何事によらず
八分目なるがよろしく、この心掛けさえあれば繁昌疑いありません。 私が餅菓子を始....
「地獄の使」より 著者:田中貢太郎
から、すこし持って来ました」 老婆は籠の中を覗いた。きれいに洗った里芋の新芋が
八分目ばかり盛ってあった。 「これはありがたい、晩には煮て、お爺さんにもあげよう....
「渡舟場」より 著者:豊島与志雄
た。彼は嬉しそうに微笑しながら、服の脇ポケットから、四合瓶を一つ取り出しました。
八分目ほど焼酎がはいっていました。他方のポケットからは、大きな盃が二つ出てきまし....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
雨の中、もし、風邪でもひいたら、一体、どうなさるんで。旅ってものは、腹と一緒で、
八分目でござんすよ。昨夜よっぴて歩いたって、今朝、早立したあっしが、馬で急ぎゃあ....
「スポーツの美的要素」より 著者:中井正一
すべてのスポーツにおいてあたかも緊張する場合、注意をする場合、力を要する場合、腹
八分目に息を吸って生理的怒責作用を惹起するに因由するであろう。あらゆるスポーツの....
「リズムの構造」より 著者:中井正一
かなくなってくる。拍子の内奥によき耳だけが味到せんとする呼吸が内在する。それは腹
八分目に吸いたる息を静かに吐くにあたって、その一瞬の極促において経験する阿※ある....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
て見ますと、今時の乞食にしては贅沢千万、外米入らず、手の切れるような未炊の白米が
八分目ばかり。手を入れてみたが、ザックという手ざわりのほかには異状がない。連合い....
「それから」より 著者:夏目漱石
り奇麗だったから」と答えて、鈴蘭の漬けてある鉢を顧みた。代助はこの大鉢の中に水を
八分目程張って置いた。妻楊枝《つまようじ》位な細い茎の薄青い色が、水の中に揃《そ....