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「八端〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

八端の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
春の盗賊」より 著者:太宰治
いろは、睡眠のために、いいようである。この風呂敷は、路で拾ったものである。私は、八端《はったん》の黒い風呂敷を持って、まちへ牛肉を買いに行き、歩きながら、いろい....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
帰宅したものか、そこの茶の間の長火ばちの向こうに、どっかりとおおあぐらをかいて、八端《はったん》のどてらにその醜悪な肉体を包みながら、いかさま上方くだりの絹あき....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
って帰って、代々持ち伝えていました。小袖は二枚で、一枚は白綾《しろあや》、一枚は八端《はったん》、それに血のあとが残っていると云いますから、恐らく吉良が最期《さ....
黒髪」より 著者:近松秋江
人が風雅の心得のある人間で、金目を見せずに気持ちよく座敷を飾ってあった。私は厚い八端の座蒲団の上にともかくも坐って、女中の静かに汲んで出した暖かい茶を呑んでから....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
んは先の御亭主に連れられて樺太に帰ってしまった。 「寒くなるから……」と云って、八端《はったん》のドテラをかたみに置いて俊ちゃんは東京をたってしまった。私は朝か....
雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
あり、鉄瓶《てつびん》も炭をたせば、すぐに煮えくるほどになっている。 闇太郎は八端《はったん》がらの、あまり大きくない座布団を、雪之丞のために進めた。 「ごら....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
あろうに、わざわざ病室から離れまで出張して――枕も上らなかったように思えたのに、八端《はったん》のねんねこを引っかけて、曲※《きょくろく》によりかかり、高脚《コ....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
のような高い鼻をもった大きな人だったが、家にいる時は冬は糸織のねんねこを着、夏は八端《はったん》の平ぐけを締めて、あんまり話はしないが細かく気のつく人だった。 ....
沼のほとり」より 著者:豊島与志雄
ていました。 室を一つ距てた奥に寝床がのべてありました。八重子は長襦袢のまま、八端の柔い夜具にもぐりこみました。 夜の静寂の音とも細雨の音とも知れないものが....
放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
御亭主に連れられて樺太に帰ってしまった。 ――寒むくなるから……――と云って、八端のドテラをかたみに置いて東京をたってしまった。 私は朝から何も食べない。童....
巷説享保図絵」より 著者:林不忘
ま苦笑をもらしたのだ。それは、霜の朝の池の氷のような、うすい、冷たい苦笑だった。八端《はったん》の寝巻きに、小帯を前にむすんだ惣七である。よく見えない眼をこすっ....
春泥」より 著者:久保田万太郎
ぐかれは支度をして、その浅草座座附のある茶屋に倭をたずねた。河岸のそろいの浴衣に八端の三尺、脚絆がけ、手に菅笠をもったそのときのかれのいでたちであった。――志願....