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「八苦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

八苦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
火の鳥」より 著者:太宰治
らないことには、東京にも帰れないし、もう十日以上も、こんな山宿に立てこもって七転八苦、めもあてられぬ仕末さ。さっきね、女中からあなたの来ていることを聞いたんだ。....
熊の出る開墾地」より 著者:佐左木俊郎
い奴だったから、碌《ろく》なごとしてたんで無かんべで。」 併しその悪口は、四苦八苦の生活に喘《あえ》いでいる百姓達の、羨望《せんぼう》の言葉だった。 露国と....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
台をいつまでも眺めていた。 「鯉と鰻の養殖がうまく行かないので、鼎造、この頃四苦八苦らしいよ。養魚場が金を喰い出したら大きいからね」 築けども築けども湧き水が....
般若心経講義」より 著者:高神覚昇
い子には旅させよ」とは、たしかに味わうべきことばです。 苦の原因ですから、四苦八苦のホンの一部分でしかありません。強いていえば「求めて得られざる苦しみ」(求不....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
れからまた兄さんは……兄さんの名誉にかかわることがあると……。 哀れ文子は四苦八苦の死地に陥った、かの女は去るにも去られなくなった。と階段の音が聞こえてひとり....
窃む女」より 著者:黒島伝治
斯紡績だけでは足りない。お品は友染の小浜を去年からほしがっている。 二人は四苦八苦しながら、子供の要求を叶えてやった。しかし、清吉が病気に罹って、ぶら/\しだ....
淪落の青春」より 著者:坂口安吾
日にそなえる心構えが自然に生れているのである。 然し、正一郎は実際ヤリクリ四苦八苦であった。もっとも火の車だからヤッカイ者を邪魔にするわけじゃない。元々相当の....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
ているらしく、にわかに物分りのよい顔をして、 「実は青木が、これは又、猛烈な四苦八苦なんだよ。あらゆる事業がおもわしくない」 「手広くやりすぎたのだよ。戦後のバ....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
して、 「そうでしたわ。にわかに指定の日までが短くなったために、お金の工面に四苦八苦いたしまして、脅迫者宛てに日取りに間隔をおいて下さるようにと杉山さんから依頼....
女難」より 著者:国木田独歩
うと、一念こうなりましてはかけおちもできなくなったのでございます。 それで四苦八苦、考えに考えぬいた末が、一人で土地を逃げるという了見になりました、忘れもいた....
貞操問答」より 著者:菊池寛
毎日の小屋代、大道具代、衣裳代、弁当代、かつら代などの調達に、初日早々から、四苦八苦の有様だった。 しかも、どの費用も大抵は、その日払いで、ちゃんと払わなけれ....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
象が数多く見られる。世の不景気を知らぬ顔に収益を挙げつつある百貨店に比して、四苦八苦の個人店が約四倍の税金を負担しているのである。かかる社会的不公平はぜひ改めね....
戯作者」より 著者:国枝史郎
どうでも書かずばなるまい。とても私の手には合わず、さりとて今更断りもならず、四苦八苦の態たらくでげす。――いかがでげしょう滝沢さん、代作をなすっちゃア下さるまい....
二十一」より 著者:坂口安吾
を送り、僕が勉強――といっても本の前に坐っているばかり意識百方に分裂してただ四苦八苦のところであるが――の部屋へはいってきて、忘れ物をしましたがと言って何か探す....
能面の秘密」より 著者:坂口安吾
沿うてノロノロノロノロ歩いてくるのですよ。便所なぞへ行くと何かに突き当ったり四苦八苦ですよ。先日私が一人言を云ったとき、オヤどなたかいらッしゃるんですかと聞くん....