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其
「其〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
其の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
法科に在学中の或友だちを訪問した。彼等は壁も唐紙も古びた八畳の座敷に話していた。
其後へ顔を出したのは六十前後の老人だった。信輔はこの老人の顔に、――アルコオル中....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
えて云ったのでございます。
そう申せば私が初めてその沙門を見ましたのも、やはり
其頃の事でございました。確か、ある花曇りの日の昼中《ひるなか》だったかと存じます....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
させ給う。富士司の御鷹匠は相本喜左衛門《あいもときざえもん》と云うものなりしが、
其日は上様御自身に富士司を合さんとし給うに、雨上《あまあが》りの畦道《あぜみち》....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
い機会を得さえすれば、一団の星雲と変化するであろう。そうすれば又新しい星は続々と
其処に生まれるのである。
宇宙の大に比べれば、太陽も一点の燐火《りんか》に過ぎ....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
* * *
元宰先生《げんさいせんせい》(董
其昌《とうきしょう》)が在世中《ざいせいちゅう》のことです。ある年の秋先生は、煙....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
た向うにある、書斎の唐紙《からかみ》をあけました。これは茶の間へ行く間に、教科書
其他のはいっている手提鞄《てさげかばん》を、そこへ置いて行くのが習慣になっている....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
七日目の二十二日に、大目付石河土佐守が、上使《じょうし》に立った。上使の趣は、「
其方儀乱心したとは申しながら、細川越中守|手疵養生《てきずようじょう》不相叶《あ....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
族主義は土崩瓦解《どほうがかい》するを免《まぬか》れざるなり。語に曰《いわく》、
其罪を悪《にく》んで
其人を悪まずと。吾人は素《もと》より忍野氏に酷《こく》ならん....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
しょに、トロッコへ乗りたいと思う事もある。トロッコは村外れの平地へ来ると、自然と
其処に止まってしまう。と同時に土工たちは、身軽にトロッコを飛び降りるが早いか、そ....
「格さんと食慾」より 著者:芥川竜之介
にはならない人である。これは時には宇野浩二に怪物の看を与えるかも知れない。しかし
其処に独特のシャルム――たとえば精神的カメレオンに対するシャルムの存することも事....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
称しても好い。この道徳的意識に根ざした、リアリスティックな小説や戯曲、――現代は
其処に、恐らくは
其処にのみ、彼等の代弁者を見出したのである。彼が忽ち盛名を負った....
「小杉未醒氏」より 著者:芥川竜之介
一昨年の冬、香取秀真氏が手賀沼の鴨を御馳走した時、
其処に居合せた天岡均一氏が、初対面の小杉未醒氏に、「小杉君、君の画は君に比べると....
「近藤浩一路氏」より 著者:芥川竜之介
ではない。南画じみた山水の中にも、何処か肉の臭いのする、しつこい所が潜んでいる。
其処に芸術家としての貪婪が、あらゆるものから養分を吸収しようとする欲望が、露骨に....
「豊島与志雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
う記憶がある。「玉突場の一隅」を褒めたら、あれは左程自信がないと云ったのも恐らく
其時だったろう。それから――後はみんな、忘れてしまった。が、兎に角、世間並の友人....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
。出立つ前に年寄の忠告にも、「旅は明日志す所へ着くというその夜は誰も安心して必ず
其所で竊みに逢うものなり」とありたれば、今宵こそ大事なれとその胴巻を締めたまま臥....