其の儘[語句情報] » 其の儘

「其の儘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

其の儘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
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半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
談の上で四人の死骸を順々に抱え出して古井戸へ沈めることにした。しかし、いつまでも其の儘にしても置かれないので、それから四日目にお鎌が偶然見付け出したような振りを....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
からたびたび喧嘩をしていました。去年の暮に一旦別れるような話もありましたが、まあ其の儘になっていたのです。今月の二日の晩に、おかみさんは宵から出て行きましたが、....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
も行ってやろうと思いながら、なにしろこちらも御覧の通りの始末だもんですから、まだ其の儘になっているようなわけでございます。そのことに就きまして、勘蔵がお前さんに....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
たのは幽霊か。なにが何やら、お徳にはちっとも判らなくなってしまった。 なにしろ其の儘にしては置かれないので、お徳はとりあえずその実否を確かめに行こうとすると、....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ことであった。或いは隠れているのではないかとも疑ったが、しいて詮議もならないので其の儘むなしく帰ってくると、留守のあいだに大|椿事が出来していた。 二階にはお....
振動魔」より 著者:海野十三
鳴咽する柿丘の声と、淫らがましい愛撫の言葉をもって慰めはじめた雪子夫人の艶語とを其の儘、あとに残して、僕はその場をソッと滑るように逃げだすと、跣足で往来へ飛びだ....
白蛇の死」より 著者:海野十三
、完全に救われた様な気軽さも覚えて、もう二度とお由の不気味な屍体を見る気はなく、其の儘|踵を返したのであった。 だが、なんという奇怪な事件だろう。お由は露路に....
赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
ついでいる彼として、犯罪とか極悪人とかへのやけつくような憧憬から生れ出た妄想を、其の儘、事実らしく物語ったものであろう。従って「赤耀館事件の真相」もどこからどこ....
恐しき通夜」より 著者:海野十三
も間もなく治癒するだろうから、折角始めて得た子宝のことでもあり、流産をさせないで其の儘、正規分娩にまで進ませていいのだ。だが若し、この消耗が恢復せず、更に悪化す....
爬虫館事件」より 著者:海野十三
だから今夜あたり帰って来られますよ』と云って下さいました。しかし私共は、なんだか其の儘では、じっと待っていられないほど不安なのでございます。万一父が危害を加えら....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
さすがに線香を持たせたり水を持たせたりはしなかったが、寺子屋の芝居に見る涎くりを其の儘の姿であった。更に手重いのになると、教授用の大きい算露盤を背負わせて、教師....
豆腐買い」より 著者:岡本かの子
ら七八町ばかりの裏町に家を借りて母親と住み出したらしい。アンリーは事情を承知して其の儘お京さんの病気が癒って戻って来るのを、ひとりのままで待っているという。 ....
母と娘」より 著者:岡本かの子
力に依って物事の核心を掴んで帰って来ると信じて気を静めて居ます。一見したのを直ぐ其の儘受け取らないで、再三再四繰返えし考え、横からも縦からも噛みしめて本当の事実....
」より 著者:岡本かの子
の横顔から血の気が退いて、顔面筋の痙攣が微かに現われた。椿を突いた京子の右の手は其の儘前方に差し出たなり、左手はぶらんと下って、どちらも小刻みに顫え出した。そし....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
ようにも見える。長い眉毛が長寿不老というような語を思わせる。明治十二三年頃買って其の儘用い来ったという陣笠のような猟帽を頭へ戴いて、黒い古紐が面のような顔をキリ....