其の場[語句情報] » 其の場

「其の場〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

其の場の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
響いて来たサイレンの音、――人々は回転の停った活動写真のように踊りの手をやめて、其の場に棒立ちになった。向うの大通りから、ヘッドライトをらんらんと輝かして自動車....
西湖の屍人」より 著者:海野十三
の魂が乗り移っている霊媒の婦人の肉体だというのか。ああ……」女史は頭をかかえて、其の場に俯いた。やがてその下から泣き声が洩れてきた。獣の叫びごえに似た怪しい響を....
空中墳墓」より 著者:海野十三
られるものがあり得ようか。私は、真弓子と其の愛人に望遠鏡をゆずることさえ忘れて、其の場に立ちつくしていたのである。....
白蛇の死」より 著者:海野十三
飛んで壁に砕けた。途端に血相を変えた二人が、両方から一緒に飛びかかって、――が、其の場は仏の手前もあるからと、居合せた者が仲へ入ってやっと引分けている内に、丁度....
赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
とです。コップの中に青酸加里があったとすると、綾子夫人も青酸瓦斯を吸いこんで命を其の場に喪った筈なのです。お嬢さんにお伺いいたしますが、丈太郎氏は、何かものを口....
電気看板の神経」より 著者:海野十三
けてあった首の後部とに電極を置かれて放電せられたもので、相当強い電流が心臓を刺し其の場に即死をとげたことが判明した。この驚くべき事実が報告されてみると、警視庁で....
省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
た」 「目黒で降りたようです」 「屍体なんか、どうでもよいから、今度からは龍子を其の場でとりおさえるんだぞ」 「課長、例の十字架に髑髏の標章の入った小布が、死体....
恐しき通夜」より 著者:海野十三
ように、それを逸早く認めた川波大尉だった。彼は軍医の話をそちのけにして、スックリ其の場に立ち上った。 「紅子、お前にちょっと聞くが、儂が土耳古で買ってきたといっ....
殺人の涯」より 著者:海野十三
が渦を巻いていた。確かにそれは、あの世の風景に違いなかった。 私は恐怖のあまり其の場に立ち竦んだ。 ――或る夜の夢より――....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
。 次は居留邦人の激昂のお話。 この報至るや、居留邦人は非常に激昴しまして、其の場に於て、決死団を組織し、暴行団員が引上げたと思われる共同租界内のホテル・ス....
疑問の金塊」より 著者:海野十三
て、硝子には大孔が明いたが、すかさず手を入れて九万円の金塊を掴むと、飛鳥のように其の場から逃げ去った。それから十日目の今日まで犯人は遂に逮捕されない。なにしろ早....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
、思いがけなくグニャリと気味のわるいものを踏みつけた。 「呀ッ――」 と、彼は其の場に三尺ほど飛び上った。 だが彼は、その叫び声に続いて、もう一つの驚きの声....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
ると、一同は手に手に重も相な獲物をぶらさげて居た。而して瞬く暇にかんかん虫は総て其の場に馳せ集まって、「何んだ何んだ」とひしめき返して、始めから居たかんかん虫は....
崩れる鬼影」より 著者:海野十三
ぎるような悲鳴です。月明の谿々に、響きわたるさまは、何というか、いと物すさまじい其の場の光景でした。私の足は、もう云うことをきかなくなって、棒のように地上に突き....
科学が臍を曲げた話」より 著者:海野十三
して来る。実験者はサッと蒼くなりました。一方の手で傷口を抑えたまま、ウンといって其の場に仆れてしまった。一体どうしたというのでしょう? 医療器だと思って安心して....