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其の方
「其の方〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
其の方の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ゆず湯」より 著者:岡本綺堂
すこで一生を終るんですね。」と、おじいさんは溜め息をついた。「だが、当人としたら
其の方が仕合わせかも知れませんよ。」 「そうかも知れませんね。」 二人はそれぎり黙って風呂へはいった。....
「俘囚」より 著者:海野十三
うだと、気がついたとき、庭の方の硝子窓《ガラスまど》が、コツコツと叩かれるので、
其の方へ顔を向けた。 「ああ、――」あたしは、思わず大声をあげると、その場に飛ん....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
前よりも声荒く「叔父さん、私は黙って居度いと思っても、黙っては居られません、今の
其の方のお言葉は確かに私と道さんとを邪魔にするのです、晩餐に招かれて爾して主人の....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の付くわけのもんじゃねえが、なにしろ十万坪の絵から考え出したんだから、ともかくも
其の方角へ行って見た上で、又なんとか分別を付けようと思って、遠い砂村までわざわざ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
時すぐに引き挙げてしまえばよかった。畜生、どこへ行ったろう」 どっちへ行ったか
其の方角が立たないので、二人はぼんやりと門口に突っ立っていると、どこかで女の声が....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
いると、二子玉川あたりの上空を越えてぞくぞく後続機が一機宛こっちへ侵入してくる。
其の方向はすべてこっちへ向いているのだ。これはいよいよ来るわいと思った。 する....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
あすこで一生を終るんですね。」と、おじいさんは溜息をついた。「だが、当人としたら
其の方が仕合せかも知れませんよ。」 「そうかも知れませんね。」 二人はそれぎり....
「姉川合戦」より 著者:菊池寛
、重量を減すため、ところどころ窓があったかも知れぬ。が一説に五尺三寸と云うから、
其の方が本当であったろう。だが真柄の領内で、この太刀を担げる百姓はたった一人で、....
「運命」より 著者:幸田露伴
るべし。又|其の克畏の箴を読めば、あゝ皇いなる上帝、衷を人に降す、といえるより、
其の方に昏きに当ってや、恬として宜しく然るべしと謂うも、中夜静かに思えば夫れ豈吾....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
無え」で通すんだぞ、生じっか…… 此の時ぴーと耳を劈く様な響きが遠くで起った。
其の方を向くと船渠の黒い細い煙突の一つから斜にそれた青空をくっきりと染め抜いて、....
「「平家物語」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:作者不詳
もないだろう。嵯峨にある家はそう多くはないからその戸毎をまわって尋ね奉ったならば
其の方の琴の音ならばどこに居ても聞き知る事が出来るものを」と思ったので「さような....
「正雪の遺書」より 著者:国枝史郎
の旗上げの準備に取りかかったのでございます。 私は彼等に云いました―― 「先ず
其の方寸としては最初江戸にて事を起こし漸次駿府大阪京都と火の手を挙ぐるがよろしか....
「深見夫人の死」より 著者:岡本綺堂
が出来していた。車掌が一人の乗客を捉えて何か談判しているのである。他の乗客もみな
其の方に眼をあつめていた。中には起ちあがって覗いているのもあった。女客などは蒼い....
「茶屋知らず物語」より 著者:岡本かの子
円通は一向平気でした。 「私の門人のSという男が、私の字を読み慣れている。これは
其の方へ持って行って読みこなして貰う方が早道と思うが」 先ずこんな調子の人物で....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
らず歳暮を自宅の下の者までへ心附けくれられて、誠に有難い、また相かわらず重三郎を
其の方の代としての年頭で、年玉の品々を忝けのうござる」 政「何う致しまして……え....