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其は
「其は〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
其はの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
る筈がない。そうかと云って男がベッドに睡っている間にあの煙草を撒いたのでもない。
其は男がベッドから遠く離れたところで重傷しているので解る。ベッド以外に男が睡って....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
出て来る、尚一つの論理は、口語歌の存在を論理的基礎のないものにして了うであろう。
其は、口語の音脚並びに其の統合律が、57を基本とする短歌とは調和しなくなっている....
「鬼を追い払う夜」より 著者:折口信夫
に入れて吸い物として勤めると、其啜る音がすると言うではありませんかと問いますと、
其は噂だけで、そんな事はありません。唯豆を打つ場合に、「鬼は内、福は内、富は内」....
「詩語としての日本語」より 著者:折口信夫
い言語を、詩語として綴った場合には、それが古語でなくて、現代語であったとしても、
其は全く意味のない努力になる。唯古語は近世又は中世以前の言葉であり、当然詩語とし....
「死者の書」より 著者:折口信夫
のな。はっきり聞いたのが、水の上に浮いている鴨鳥の声だった。今思うと――待てよ。
其は何だか一目惚れの女の哭き声だった気がする。――おお、あれが耳面刀自だ。其瞬間....
「反省の文学源氏物語」より 著者:折口信夫
生活の型の外に、普遍的なもらあるがあるのだと言うことを思わせるようになっている。
其は、因果応報と言う後世から平凡なと思われる仏教哲理を、具体的に実感的に織り込ん....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
の伴と謂っている。宮津辺では、日天様の御伴と称して、以前は同様の行事があったが、
其は、彼岸の中日にすることになっていた。紀伊の那智郡では唯おともと謂う……。こう....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
るから、大抵の場合に於て老人には従い、老馬には騎《の》るのが危険は少い。けれども
其は無事の日の事である。戦機の駈引には安全第一は寧《むし》ろ避く可きであり、時少....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
まで恋と云う事|為たる覚なし。勢州四日市にて見たる美人三日|眼前にちらつきたるが
其は額に黒痣ありてその位置に白毫を付なばと考えしなり。東京|天王寺にて菊の花片手....
「死生」より 著者:幸徳秋水
ることは出来ぬ、若し如何にかして其を遁がれよう、其れに抗しように企つる者あらば、
其は畢竟愚癡の至りに過ぎぬ。只だ是れ東海に不死の薬を求め、バベルに昇天の塔を築か....
「朝飯」より 著者:島崎藤村
自分の思惑を憚るかして、妙な顔して、ただもう悄然と震え乍ら立って居る。 「何しろ
其は御困りでしょう。」と自分は言葉をつづけた。「僕の家では、君、斯ういう規則にし....
「触覚の世界」より 著者:高村光太郎
事が出来る。空はキメが細かいと。秋の雲は白いという。白いには違いないが、同時に、
其は公孫樹の木材を斜に削った光沢があり、春の綿雲の、木曾の檜の板目とはまるで違う....
「書について」より 著者:高村光太郎
碣の美はまことに深淵のように怖ろしく、又実にゆたかに意匠の妙を尽している。しかし
其は筆跡の忠実な翻刻というよりも、筆と刀との合作と見るべきものがなかなか多く、当....
「唖娘スバー」より 著者:タゴールラビンドラナート
知らない者は無くなってしまいました。若し又、誰か其を知らない者があったとしても、
其は少くとも、彼女がわるいのではありませんでした。彼女は、誰も瞞しはしないのです....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
所の若い者や女子供の相手になって遊ぶ位が落である。儂は最初一の非望を懐いて居た。
其は吾家の燈火が見る人の喜悦になれかしと謂うのであった。多少気張っても見たが、其....