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「其れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

其れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
立てると、自分はひどく叱られた。 大切な御品を発見した以上、何事を差しおいても其れを取り戻す工夫をしなければならないのに、うかうか見過ごしてしまうとは余りの手....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
来も痩せてしまった。 十一月の末に、安吉は又もや五両の無心を云って来た。しかし其れだけの都合が出来なかったので、お鉄は三両の金を本所の木賃宿までとどけにゆくと....
河童小僧」より 著者:岡本綺堂
音のみで、更に人らしい者の姿も見えぬ、猶念の為に他の人々にも聞合せ、流れの末をも其れぞれ取調べたが、小僧は愚か、犬の死骸さえ流れ寄ったと云う噂も聞えぬ。で、若し....
母と娘」より 著者:岡本かの子
ネスはイボギンヌとジャネットを伴ってロンドンへ帰り、暫らくアグネスの家に滞在して其れから三人してイギリスを旅行、最後にアグネスに別れてイボギンヌがジャネットを連....
画工と幽霊」より 著者:岡本綺堂
いと顫えているばかりが能でもあるまい、其の怪しい形の有のままを筆に上せて、いかに其れが恐しくあったかと云う事を他人にも示し、また自分の紀念にも存して置こうと、い....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
てある。何か大事が出来して、お前が何うしても此処に居られない様な場合になったら、其れを持出して逃るが可い。相当な買人を探して売払えば、お前は乞食を為ないでも済む....
ある日の午後」より 著者:小川未明
から……よろしければ……』と女は言った。すべてのことが私には見当がつかなかった。其れから数日の後であった。私は散歩から家に帰って来ると長屋の前に荷車があった。そ....
北と南に憧がれる心」より 著者:小川未明
るものであることは、ドストエフスキイの作を読んだものはすべて知るところであろう。其れに憧がれる、理想主義者の心持を面白く思うと同時に、またお伽噺《とぎばなし》の....
詩の精神は移動す」より 著者:小川未明
いうものは徐々として、時に破壊と建設の姿をとる場合もあるけれど又急速に飛躍して、其れを達しようとする場合もある。今私達の気持はどの点においても慌だしさを感じてい....
芸術は生動す」より 著者:小川未明
のであります。奇怪な事件が重なり合っているような場合であっても見ている時は成程、其れによって、いろ/\なことを想像したりまた感興を惹かれたりしても、一たび外に出....
渋温泉の秋」より 著者:小川未明
散歩にならぬだろうと思われた。山国の渋温泉には、西洋人はよく来るであろう。けれど其れは盛夏の頃である。こう、日々にさびれて、涼しくなるといずれも帰ってしまう。今....
絶望より生ずる文芸」より 著者:小川未明
な生活の壊滅、死に対する堪えがたき苦悶を訴えんとする二つが出て来ると思う。そして其れ等の何れの芸術に於ても此を一貫するものは誠実であると思う。此の色彩的な、音楽....
草木の暗示から」より 著者:小川未明
って、意味深い自然に対して、掬み尽されない慈愛を感ずる人が、幾何ありましょうか。其れを考える時、私は、また理屈なしに、不幸であるということを感ぜずにはいられない....
人間性の深奥に立って」より 著者:小川未明
か。試みに小学校の修身書を一瞥してもすぐ分ることであるが、その並べられた題目と、其れに関する概念的な口授式の教授ぶりとが、ほんとうの人間性の結晶と思っては大間違....
童話の詩的価値」より 著者:小川未明
話しているのを傍で聞いている子供は、すっかり諒解していることがたびたびあります。其れ程、子供の神経は鋭敏です。直感が冴えています。子供ばかりは、相手の眼の色で、....