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其処
「其処〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
其処の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
。如何に又グラウンドのポプラアは憂欝《ゆううつ》な色に茂っていたであろう。信輔は
其処に西洋歴史のデエトを、実験もせぬ化学の方程式を、欧米の一都市の住民の数を、―....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
い機会を得さえすれば、一団の星雲と変化するであろう。そうすれば又新しい星は続々と
其処に生まれるのである。
宇宙の大に比べれば、太陽も一点の燐火《りんか》に過ぎ....
「『聖書』の権威」より 著者:有島武郎
是れは悪い事であり又いい事でした。楽園を出たアダムは又楽園に帰る事は出来ません。
其処には何等かの意味に於て自ら額に汗せねばならぬ生活が待って居ます。私自身の地上....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
まりも無えに極まって居らあ。そりゃ彼奴だってイフヒムに気の無え訳じゃ無えんだが、
其処が阿魔だ。矢張り老耄の生れ代りなんだ。当世向きに出来て居やあがる。 そんな....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
、何処にどうして居るか、何を食べて居るか、誰も知らぬ。暖かそうな小屋に近づけば、
其処に飼われて居る犬が、これも同じように饑渇に困められては居ながら、その家の飼犬....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
位のつもりで軽く御返答をしたのでした。 間もなく一つの険しい坂を登りつめると、
其処はやや平坦な崖地になっていました。そして四辺にはとても枝ぶりのよい、見上げる....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
しょに、トロッコへ乗りたいと思う事もある。トロッコは村外れの平地へ来ると、自然と
其処に止まってしまう。と同時に土工たちは、身軽にトロッコを飛び降りるが早いか、そ....
「一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
はとろろ飯を食って来た。 A 朝には何を食う。 B 近所にミルクホールが有るから
其処へ行く。君の歌も
其処で読んだんだ。何でも雑誌をとってる家だからね。(間)そう....
「火星の芝居」より 著者:石川啄木
を導いて花道から案内して行くんだ』 『花道から看客を案内するのか?』 『そうだ。
其処が地球と違ってるね』 『
其処ばかりじゃない』 『どうせ違ってるさ。それでね、....
「格さんと食慾」より 著者:芥川竜之介
にはならない人である。これは時には宇野浩二に怪物の看を与えるかも知れない。しかし
其処に独特のシャルム――たとえば精神的カメレオンに対するシャルムの存することも事....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
称しても好い。この道徳的意識に根ざした、リアリスティックな小説や戯曲、――現代は
其処に、恐らくは
其処にのみ、彼等の代弁者を見出したのである。彼が忽ち盛名を負った....
「小杉未醒氏」より 著者:芥川竜之介
一昨年の冬、香取秀真氏が手賀沼の鴨を御馳走した時、
其処に居合せた天岡均一氏が、初対面の小杉未醒氏に、「小杉君、君の画は君に比べると....
「近藤浩一路氏」より 著者:芥川竜之介
ではない。南画じみた山水の中にも、何処か肉の臭いのする、しつこい所が潜んでいる。
其処に芸術家としての貪婪が、あらゆるものから養分を吸収しようとする欲望が、露骨に....
「夜釣の怪」より 著者:池田輝方
います。 川がありまして、土堤が二三ヶ所、処々崩れているんだそうで御座います。
其処へこう陣取りまして、五六|間離れた処に、その女郎屋の主人が居る。矢張り同じよ....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
すべてのものに沁み入っている。 粂吉は立ち上ってつかつかと岩鼻へ出かけて行く。
其処の岩鼻は直下数百|尋の渓谷を瞰下する断崖の頂きで岩は一面に微細な青苔に蔽われ....