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其処で
「其処で〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
其処での前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
扉に錠をかけると再び男湯の流し場へ駆けつけた。 陽吉の身体が上ったものらしく、
其処では色んな人々が立ち騒いでいた。寒さも忘れ、恥部を隠す余裕も持てない数人の浴....
「壊れたバリコン」より 著者:海野十三
かシットリと油汗が滲み出ていました。相手は何者か! 相手は何処の無線局であるか?
其処では只今何事が起っているのか? それは其時に交換した次のような奇怪きわまるモ....
「白蛇の死」より 著者:海野十三
みか何にかでお由を殺した最初の犯人が、なお飽き足らずに屍体を運ぶ二人の後を附け、
其処で再び残忍な行為を犯したとも思えるし、或いは空地に棄てられた後お由は偶然に蘇....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
さんの話じゃ。何でも、防空監視哨というのは、眼と耳とが確かならば勤るそうじゃが、
其処で考えたことがある。お前達も知っているとおり、わしは元、海軍工廠に勤めていた....
「春昼」より 著者:泉鏡花
、そうすると直ぐに身を引いたのが、隔ての葭簀の陰になって、顔を背向けもしないで、
其処で向直ってこっちを見ました。 軒下の身を引く時、目で引つけられたような心持....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
あったが、之が焼けて了ったのだ。 『片無しかネ?』 『片無しでもありません。今、
其処で植物を発見けましたが、動物が見付かりません。』 と、Kがステッキで指さす....
「カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
りした私達は、工場を出て、今度は、二つの乾船渠の間の起重機の林の中へやって来た。
其処で、大きな鳥打帽を冠った背広服に仕事着の技師らしい男に行逢うと、喬介は早速そ....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
の砦と言っても可い。戸室の石山の麓が直に流に迫る処で、累り合った岩石だから、路は
其処で切れるですものね。 岩淵をこちらに見て、大方跣足でいたでしょう、すたすた....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
てきて、ほらほらこういう具合にキリキリ舞いをしてサ、向うへ駈け出していって、さア
其処で足跡が無くなっているじゃないか」 「成る程、これア不思議ですネ」 「こんな....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
厳であった。日の光が幽に漏れた。 裏門の方へ出ようとする傍に、寺の廚があって、
其処で巡覧券を出すのを、車夫が取次いでくれる。巡覧すべきは、はじめ薬師堂、次の宝....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
、つい目前の樹の枝や、茄子畑の垣根にした藤豆の葉蔭ではなく、歩行く足許の低い処。
其処で、立ち佇って、ちょっと気を注けたが、もう留んで寂りする。――秋の彼岸過ぎ三....
「一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
た。 A 朝には何を食う。 B 近所にミルクホールが有るから其処へ行く。君の歌も
其処で読んだんだ。何でも雑誌をとってる家だからね。(間)そうそう、君は何日か短歌....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
子は心の裏、陣備も身構もこれにて粉になる。 「お足袋が泥だらけになりました、直き
其処でござんすから、ちょいとおいすがせ申しましょう。お脱ぎ遊ばせな。」 と指を....
「一寸怪」より 著者:泉鏡花
で四人出会ったところで、皆がひったり座る、勿論室の内は燈をつけず暗黒にしておく、
其処で先ず四人の内の一人が、次の人の名を呼んで、自分の手を、呼んだ人の膝へ置く、....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
り落つることがある。辛うじて木株や松の根方などで踏み止まる。踏み止まるというより
其処で支えられるのである。その危険をふせぐために、両足の指先へ力をこめて登って行....