其処ら[語句情報] » 其処ら

「其処ら〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

其処らの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
お話し申したいことがありますから、小僧さんだけを先に帰して、おまえさんはちょいと其処らまで一緒に来て下さいませんか」 「はい、はい」 云われた通りに小僧を帰し....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
夕立が降り出したので、番太郎はあわてて自分の家へ帰った。自身番の者共もおどろいて其処らを片付けた。店先の履き物を取り込む者もあった。裏口の戸を閉めにゆく者もあっ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
のか。ほかの女中はみんな小さくなって引っ固まっているのに、おめえ一人はさっきから其処らをうろうろしているのは、なにか訳があるに相違ねえ。この男を識っているのか」....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
に巧なもので。――そうすると、見失った友の一羽が、怪訝な様子で、チチと鳴き鳴き、其処らを覗くが、その笠木のちょっとした出張りの咽に、頭が附着いているのだから、ど....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ブランコが二つ設けてあったが、いっこうに地ならしがしてないので、雨あがりなどには其処らは一面の水溜りになってしまって、ブランコの傍などへはとても寄り付くことは出....
春昼」より 著者:泉鏡花
――さあ、この方が真物でござった。 開けかけた蓋を慌てて圧えて、きょろきょろと其処ら※したそうでございますよ。 傍にいて覗き込んでいた、自分の小児をさえ、睨....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
横に見つゝ新築家屋の事務所へ戻ると、人声が四壁に反響して騒然、喧然、雑然、囂然、其処ら此処らで見舞物を開いて蜜柑を頬張るもの、煎餅を噛るもの、海苔巻を手に持つも....
海の使者」より 著者:泉鏡花
いて覗いたが、ト真赤な蟹が、ざわざわと動いたばかり。やどかりはうようよ数珠形に、其処ら暗い処に蠢いたが、声のありそうなものは形もなかった。 手を払って、 「は....
怪獣」より 著者:岡本綺堂
。 今夜の釣り場は町からよほど距れていると見えて、これだけの話を聴き終るまでに其処らしい場所へは行き着かなかった。人家のまばらな田舎道のところどころに、大きい....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
のように、貴下、 (遣り切ねえや、)ッて、いけ太々しい容子ったらないんですもの。其処らへ、べッべッ唾をしっかけていそうですわ。 小銭の音をちゃらちゃらとさして....
褐色の求道」より 著者:岡本かの子
掛けをかけた石の地蔵とか、柳の落葉をかぶっている馬頭観音とかいうものの姿が、直ぐ其処らにでも見当るような親しさで、胸に思い出して居た。 硝子窓の外で、ぎらりと....
人狼」より 著者:岡本綺堂
確に手堪えがあったのだが……。急所を外れたので、取逃したかな。 (弥三郎はやはり其処らを見まわしている。モウロも窓に出て声をかける。) モウロ あなたの撃った人....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
、うす暗い物の蔭から侍従の姿が又あらわれた。かれは事の成り行きを気遣って先刻から其処らにさまよっているらしかった。 「侍従どの。」 小坂部はかれを呼び近付けて....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
供が縄を縛り付けて引摺って行くのを壱岐殿坂で見掛けたといったから、直ぐ飛んでって其処ら中を訊いて見たが、皆くれ解らなかった。児供に虐め殺された乎、犬殺しの手に掛....
四十年前」より 著者:内田魯庵
所が出来て、若い女の入門者がかなりに輻湊した。瀟洒な洋装で肥馬に横乗りするものを其処ら中で見掛けた。更に突飛なのは、六十のお婆さんまでが牛に牽かれて善光寺詣りで....