其処此処[語句情報] » 其処此処

「其処此処〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

其処此処の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
しだ、ナニ今に此の潜戸の中を検める時も来るだろうと呟き、其のまま下へ降りて廊下を其処此処と検めたが、漸く然る可き一室を見出して、甚蔵を寝かせる丈の用意を済ませた....
無惨」より 著者:黒岩涙香
辺りへ掛け総体に打のめされし如く膨上れり左の手に三ヶ所、首に一ヶ所頭の真中に大傷其処此処に擦傷等数多あり、咽に攫み潰せし如き傷○衣類大名縞|単物、二タ子唐桟羽織....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
半ごろ。』『火許は何処?』『富田のアイロン場。』――と、誰が誰に話すのか解らぬが其処此処で聞えた。中には百遍も繰返したものもあったろう。 話を綜合すると、 ....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
の中で眼を輝かした。 とうとう仕事は終った。其の日は三時半で一統に仕事をやめ、其処此処と残したところに手を入れて、偖て会社から検査員の来るのを待つ計りになった....
四次元漂流」より 著者:海野十三
を追ってきたのだという。 この話は一同をおどろかせた。そこで声をかけながら皆は其処此処を懸命に探したが、雪子の姿はどこにもなかった。どこからかでていったのでは....
転機」より 著者:伊藤野枝
の中の景色もやや違ってきていた。木立はまだ他に二つ三つと飛び飛びにあった。蘆間の其処此処に真黒な土が珍らしく小高く盛り上げられて、青い麦の芽や、菜の葉などが、生....
鮭の祟」より 著者:田中貢太郎
は直ぐ己が醜いから男が逃げたものだと思った。彼女は狂人のようになって戸外へ出て、其処此処と探し、その夜の明け方、小浜村の水際へ往った。其処には己の家の草履が揃え....
松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
」 というに仕方が無いから、番頭は奥に往きますると、乳児に乳を含ませて、片手で其処此処片付けて居りました。 福「申しお内儀さんえ」 ふみ「はい」 福「あなたの....
立山の亡者宿」より 著者:田中貢太郎
体をお潔めなさいませ」 小八は起きて婢の後から湯殿へ往った。白みわたった空には其処此処に星が淋しそうに光って裏口のほうで鶏が啼いていた。宵に入った五右衛門風呂....
怪しき旅僧」より 著者:田中貢太郎
皆の者は用意して来た棒や鍬を持って叩き伏せようとしたが、旅僧の姿はひらひらと室の其処此処に閃くばかりでどうすることもできなかった。室の隅に酒を入れてあった大きな....
次郎物語」より 著者:下村湖人
が、次郎の姿はその中にまじっていなかった。 しばらくの間は、お浜と直吉だけが、其処此処と探しまわっていた。 しかしいくら探しても見つからないので、捜索は次第....
三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
なかった。沼南の味も率気もない実なし汁のような政治論には余り感服しなかった上に、其処此処で見掛けた夫人の顰蹙すべき娼婦的|媚態が妨げをして、沼南に対してもまた余....
知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
こと二、三十歩にして窟の内やや広くなり、人々立ち行くことを得。婦燭を執りて窟壁の其処此処を示し、これは蓮花の岩なり、これは無明の滝、乳房の岩なりなどと所以なき名....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
今は水は無いが、雪解の頃は浅い池であったろう。附近には毛氈苔が敷物の模様のように其処此処に叢生して、小さな白い花を綴っている。山稜は更に東の方へ延びて、中ノ谷と....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
織り出している。大雨の際に瀑の懸る水筋の跡であろうと思った。ギボウシや矮小な木が其処此処の凹くなったり襞になったりした所に、ちょぼちょぼ生えてはいるが、そんな物....