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「其方〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

其方の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
忠義」より 著者:芥川竜之介
七日目の二十二日に、大目付石河土佐守が、上使《じょうし》に立った。上使の趣は、「其方儀乱心したとは申しながら、細川越中守|手疵養生《てきずようじょう》不相叶《あ....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
神符でも利いた様に胸が透いたんで、ぐっすり寝込んで仕舞った。 おい、も少し其方い寄んねえ、己れやまるで日向に出ちゃった。 其の翌日嚊とカチヤとを眼の前に....
天守物語」より 著者:泉鏡花
天井を貫きたる高き天守の棟に通ずる階子。――侍女等、飛ぶ蝶の行方につれて、ともに其方に目を注ぐ。 女郎花 あれ、夫人がお帰りでございますよ。 はらはらとその壇の....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
、まだるっこい。賽を二つ一所に振ろうか。(手にしながら姿見に見入る。侍女等、等く其方を凝視す。) 侍女五 きゃっ。(叫ぶ。隙なし。その姿、窓の外へ裳を引いて颯と....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
て、看板に出してあると云います。今これを食べようとするのを見てその人が、」 と其方を見た、和郎はきょとんと仰向いて、烏も居らぬに何じゃやら、頻に空を仰いでござ....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
言いながら、俊吉は、台所から燈の透く、その正面の襖を閉めた。 真暗になる土間の其方に、雪の袖なる提灯一つ、夜を遥な思がする。 労らい心で、 「そんなに、降る....
南地心中」より 著者:泉鏡花
ごとくに見えなくなった。 高く競売屋が居る、古いが、黒くがっしりした屋根|越の其方の空、一点の雲もなく、冴えた水色の隈なき中に、浅葱や、樺や、朱や、青や、色づ....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
行きぬ。 三人かくは立ならびしが、未だものいわむとする心も出でず。呆れて茫然と其方を見たる、楓の枝ゆらゆらと動きて、大男の姿あり。やがてはたと地に落ちて、土蜘....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
にも来そうで、出向く気もせず。火のない巻莨を手にしたまま、同じ処に彳んで、じっと其方を。 何となくぼんやりして、ああ、家も、路も、寺も、竹藪を漏る蒼空ながら、....
黒百合」より 著者:泉鏡花
ってを云々したごとき厭味なものではない。清しい活溌なものであった。 婦人は屹と其方を見る、トまた悪怯れず呼懸けて、 「姉や、姉や。」 「何でございますか、は、....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
ないで、横を向きながら、二服とは喫みも得ないで、慌しげにまた立つと、精々落着いて其方に歩んだ。畠を、ややめぐり足に、近づいた時であった。 娘が、柔順に尋常に会....
遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
。好き連と思い伴いて道すがら語りけるは、ここには朱の盤とて隠れなき化物あるよし、其方も聞及び給うかと尋ぬれば、後より来る若侍、その化物はかようの者かと、俄に面替....
三枚続」より 著者:泉鏡花
、哄という笑語の声がかの士官の群から起るごとに、件の小男はちょいちょい額を上げて其方を見返るのであるが、ちょうど背合せになってるから、金之助にこれは見えなかった....
式部小路」より 著者:泉鏡花
ッけなく消えてしまったのである。 女房は三たびハッと思った。 無法者が、足を其方に向けて、じりじりと寄るのを避けもしないで、かえって、膝掛を取って外すと、小....
活人形」より 著者:泉鏡花
の男を見て、病人は何か言いたげに唇を震わせしが、あわれ口も利けざりければ、指もて其方を指示し、怒り狂う風情にて、重き枕を擡げしが、どうと倒れて絶入りけり。 今....