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其辺
「其辺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
其辺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
う」というと、まだ話が仕足りなさそうな容子で、「どうせ最う眠られんから運動がてら
其辺まで送って行こう」とムックリ起上って、そこそこに顔を洗ってから一緒に家を出で....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
はいって
雪中に坐禅して羊と共に凍死せんとす
がない。何か遣りたいと思っても
其辺に草もなし。自分はもとより午後は一切喰わんのが規則ですからただ懐中から丁子油....
「偽刑事」より 著者:川田功
木細工の様に煙草を盛上げたり、食料品の缶詰が金字塔型に積重なったりして居た。彼は
其辺を一ト渡り見渡して、女の方へ眼を移した。が、某所には女の影も見られなかった。....
「厳島合戦」より 著者:菊池寛
、尚西方に遁れたが、味方の兵船は影だになく、遂に大江浦にて小川伝いに山中に入り、
其辺りにて自害したと言われている。 伊加賀民部、山崎|勘解由等これに殉じた。晴....
「赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
一基燈っている。 「はて」と不思議そうに呟き乍ら、彼は其前に彳んだ。どう考えても
其辺に石燈籠があるわけが無い。其処には燈籠は置かなかった筈だ。そこに燈籠のあると....
「高島異誌」より 著者:国枝史郎
させた。 八蔵は何か口の中でぶつぶつ不平を云っていたが、主人の命令に従って鍬で
其辺の土を掻いた。カチリと鍬の刄に当たるものがある。見ると手頃の銀環である。その....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
奥羽を平定して終《しま》うのだ、汝等の知るところでは無い、と云ったというが、実に
其辺は秀吉の好いところだ。政宗だとて何で一旦関白面前に出た上で、復《また》今更に....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
の厄介になりましょうと尻を炬燵に居て、退屈を輪に吹く煙草のけぶり、ぼんやりとして
其辺見回せば端なく眼につく柘植のさし櫛。さては花漬売が心づかず落し行しかと手に取....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
、雪の上に五、六の人影が動いていたが、間もなく崖の後に隠れた。小黒部鉱山の新道は
其辺から雪渓を離れて、横に山腹を辿るのであろう。 峠の道から四、五間南に行って....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
ることは、黒部|別山を踰えでもしなければ不可能である。そして黒部別山に登ることも
其辺からは絶望に近い。それで私は果して助七は平まで通ったことがあるのであろうかと....
「八ヶ峰の断裂 」より 著者:木暮理太郎
迂廻しなければ、到底通過不可能であろうとさえ思われる。そしてまだ悪いことは、折角
其辺まで下りて迂廻しても、再び山稜まで登る際に、またしても滝などに阻まれはせぬか....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
引馬野は遠江|敷智郡(今浜名郡)浜松附近の野で、三方原の南寄に曳馬村があるから、
其辺だろうと解釈して来たが、近時三河|宝飯郡|御津町附近だろうという説(今泉忠男....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
存じさまで」 四十二 喜一郎は態と笑を含みまして、 秋「何うも
其辺だろうと鑑定が附いていた、ま宜しいが、彼の松蔭並びに神原兄弟の者はなか/\悪....
「家」より 著者:島崎藤村
た。正太は入口の庭のところに立って声を掛けた。 「叔父さん、御暇でしたら、すこし
其辺を御歩きに成りませんか」 「御供しましょう――しかし、一寸まあ上り給えナ」 ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
耕地を潰さず共、電車で五分間乃至十分も西に走れば、適当の山林地などが沢山あって、
其辺の者は墓地を歓迎して居る。其方へ行けばよいじゃないか。反対の理由は、ざっと右....