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其頃
「其頃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
其頃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
えて云ったのでございます。
そう申せば私が初めてその沙門を見ましたのも、やはり
其頃の事でございました。確か、ある花曇りの日の昼中《ひるなか》だったかと存じます....
「運命論者」より 著者:国木田独歩
こども》の僕には未《ま》だ気が着きませんでした。 言うことを忘れて居ましたが、
其頃は父が岡山地方裁判所長の役で、大塚の一家《いっけ》は岡山の市中に住んで居《い....
「守の家」より 著者:伊藤左千夫
て、少しかがみ腰に笑顔で自分の顔を見るのであった。自分は訳もなく嬉しかった。姉は
其頃《そのころ》何んでも二十二三であった。まだ児供《こども》がなく自分を大へんに....
「三角形の恐怖」より 著者:海野十三
漸く済んで一寸一ヶ月の休暇が私に与えられていました。私の探偵したところによると、
其頃細田氏は毎朝神田の白十字会病院まで注射をうけに行くということが判っていました....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
は躑躅の咲くまでは、江戸の人の足|蹈みするところじゃありませんよ。」 まったく
其頃の大久保は、霜解と雪解とで往来難渋の里であった。そのぬかるみを突破してわざ/....
「桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
から多く与へた事や、当時から槍は三間柄が有利であるとの見解を持って居た事や、更に
其頃次第に戦陣の間に威力を発揮して来た鉄砲の稽古に熱心であった事などを見ると、筑....
「島原の乱」より 著者:菊池寛
、一向はかばかしくない。温泉颪の寒風に徒らに顫え乍ら、寛永十四年は暮れて行った。
其頃幕府は局面の展開を促す為、新に老中松平伊豆守信綱を上使に命じ既に江戸を発せし....
「高島異誌」より 著者:国枝史郎
彼の館の庭園に古い広い池があった。以前空地であった頃から其池は其処に在ったので、
其頃から其池は人達によって、「蟇の池」と呼ばれていた。夫れは巨大な無数の蟇が其処....
「無惨」より 著者:黒岩涙香
探偵する事が有て己が自分で博賭徒に見せ掛け二月ほど築地の博徒宿に入込んだ事が有る
其頃丁度築地カイワイに支那人の張て居る宿が二ヶ所あった、其一ヶ所に恐しいアバズレ....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
正公坂で待受けた事はありません。清正公坂より赤坂に電車で行ったと警察で述べたが、
其頃同所に電車はない筈です。ない電車には乗れません。 古我判事は支倉のこの返答....
「死者の書」より 著者:折口信夫
どころでは、ありは致しませぬ。淡海公の時も、まだ一流れのお家でおざりました。併し
其頃やはり、藤原は、中臣と二つの筋に岐れました。中臣の氏人で、藤原の里に栄えられ....
「河童小僧」より 著者:岡本綺堂
の帰途に葵阪へ差掛ると、生憎に雨は烈しくなった。 当時の人は御存知あるまいが、
其頃は葵阪のドンドンと云っては有名なもので、彼の溜池の流れを引いて漲り落つる水勢....
「探偵物語の処女作」より 著者:黒岩涙香
左様いうことを世人の誤ら無いように為るには、実際に必要だと思って居りました。殊に
其頃の新聞に発刊停止が頻々と下って随分裁判の不公平が有りましたから、其れを一つ当....
「鵞湖仙人」より 著者:国枝史郎
くなる。それをピョンピョン飛び越すのである。 しまいには池となり沼となる。もう
其頃には人間の方も、それを平気で飛び越す程の力量が備わっているのである。 これ....
「子供の霊」より 著者:岡崎雪声
私が十三歳の時だから、丁度慶応三年の頃だ、当時私は京都寺町通の或る書房に居たのであるが、その頃に
其頃の主人夫婦の間に、男の子が生れた。すると奇妙なことに、その子に肛門がないので....