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「具象〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

具象の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
だ。その茫漠とした靄《もや》のような物質を、単なる曖昧だけのものとはせず、進んで具象化して、一つの機構に組上げなければならぬ――と教えてくれました」 それはさ....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
に違いない。普通意味せられるところの芸術家、即ち芸術を仕事としている人々は思想を具象化するについて、思想家のように抽象的な手段によらず、具体的な形に於てせんとす....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
ある。また傷しい懺悔である。多くの信者達は、役ノ行者と光明優婆塞との、その二人の具象化として、この石像を尊んだ。 僧侶達の宿房は、この石像の西南にあった。護摩....
学生と教養」より 著者:倉田百三
れてもらいたいために小説や、戯曲に行く。それはもとより当然である。文芸はこの生の具象的な事実をその肉づけと香気のままに表現するものだからだ。少なくともそこにはか....
生活と一枚の宗教」より 著者:倉田百三
でそこで話しているときには、その話というものは会話でありまして、会話というものは具象的な生命を盛り上げている。会話というものと理屈の違うところは、会話というもの....
方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
、格別見るようなこともなかった。 と、ある日――。はじめてお祖母さんのそれが、具象的なものに打衝かった。 それは、母が生前見ていた婦人雑誌を、末起がなに気な....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
うに死体が……」 と犬射の顔色はみるみる蒼白に変っていって、なにか心中の幻が、具象化されたのではないかと思われた。 その流血は、ほんの一、二分前から始まった....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
はもはや余技ではない。気を負うた鴎外の全本領として活かされて来るからである。かの具象的観照の妙処の如きも、将また私を隠した叙述のさばかりの冷徹さも、詰るところ、....
歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
ろう。 最近の茂吉さんの歌に、良寛でもないある一つの境地が顕れかけたのは、これの具象せられて来たのではないかと心愉しんで見て居る。氏は用語に於いて、子規よりも内....
山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
|南家藤原|郎女の、幾度か見た二上山上の幻影は、古人相共に見、又僧都一人の、之を具象せしめた古代の幻想であった。そうして又、仏教以前から、我々祖先の間に持ち伝え....
書籍の風俗」より 著者:恩地孝四郎
明示する姿を以て遺されている。燦爛たる光耀を伴うような、神への尊崇と神への敬順を具象化したような宝玉や金属で飾られた寺院本、紋章や唐草や絡み模様などでけんらんと....
ばけものばなし」より 著者:岸田劉生
まり一つの「怪」とか、「鬼気」とかいう無形の実感を、その時々の感じに応じて様々に具象させたもので、画工の想像力によってよりぴったりとその「怪」「魔」「鬼気」等の....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
ある。馬琴の人生観や宇宙観の批評は別問題として、『八犬伝』は馬琴の哲学諸相を綜合具象した馬琴|宗の根本経典である。 三 『八犬伝』総括評 だが、....
斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
の、人品、音声、表情など一切がメスのように鋭どいキビキビした緑雨の警句そのままの具象化であった。 私が緑雨を知ったのは明治二十三年の夏、或る温泉地に遊んでいた....
「にんじん」とルナアルについて」より 著者:岸田国士
惹くものは、どちらかというと抽象の衣を照らす月光ではなくて、白日の下にさらされた具象の世界であった。現実は彼の眼に現実以上のものとして映った。現実の二重相は、彼....