具足櫃[語句情報] » 具足櫃

「具足櫃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

具足櫃の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
いを鳥渡かぎましたが、やがて笑い出しました。 「はゝ、これは血でござりますな。御具足櫃に血を見るはおめでたい。はゝゝゝゝ。」 入物が鎧櫃であるから、それに取り....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
して昼食をとる時刻だ。正武隊付きを命ぜられた諏訪の百姓降蔵は片桐から背負って来た具足櫃をそこへおろして休んでいると、いろは付けの番号札を渡され、一本の脇差をも渡....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
在世の頃、侍臣手島新十郎が写した清正像にしっくりと合致する。 その画像の前には具足櫃《ぐそくびつ》があって、それと釣合いを取って刀架《かたなかけ》がある。長押....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
鎧櫃の上に手をかけてみた神尾主膳。あの百姓め、どこからこんな洒落《しゃれ》た具足櫃を持って来たという見得《みえ》で、塗りと、前後ろと、金具をちょっと吟味した....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
で出発した。家来は二人連れた。その一人は槍を持って行く。それから別に人足を雇って具足櫃《ぐそくびつ》を舁がせる。この槍と具足櫃とは侍たる者の片時も身を離してはな....
五右衛門と新左」より 著者:国枝史郎
狂ふなり伏見城 京伏見経机ありあはれなり 辻斬の細きもとでや念仏僧 鬼瓦長し短し具足櫃 忍術の袈裟かぶり行くほととぎす こんな名吟が続出した。 で、みんなド....
春心」より 著者:田中貢太郎
吉は傍の長櫃の上に重ねた蒲団の一枚を執った。お高は渋紙包を持って起ち、それを傍の具足櫃の上へおいた。平吉はそこで蒲団の萌黄の裏を上にして胡蓙の上へ敷いた。お高は....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
にうずくまった。 「……あれは?」 「これに持参いたしました」 肩からおろした具足櫃を眼で示すと、老人は篤と見て、きげんよくうなずいた。 「弦之丞の仆れている....
私本太平記」より 著者:吉川英治
外して、 「袈裟筥へおさめておけ。そしてまず朝飯を食おう。それからすぐ身仕度だ、具足櫃を取出して来い」 と、いいつけた。何か凛とした語気だった。そして命じ終る....
黒田如水」より 著者:吉川英治
かない前であった。 「よしっ。なお見張を忘るな。異状が見えたら刻々に告げて来い」具足櫃を開けて、親譲りの紺糸縅しの一番を着込むのと、侍部屋の方へ向って股肱の面々....