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兼
「兼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
兼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
別釣に執着があった訳でもありませんから、早速彼の発議《ほつぎ》に同意して、当日は
兼ねての約束通り柳橋の舟宿《ふなやど》で落合ってから、まだ月の出ない中に、猪牙舟....
「河童」より 著者:芥川竜之介
あった消毒用の水薬《すいやく》でうがいをしました。すると細君の腹の中の子は多少気
兼ねでもしているとみえ、こう小声に返事をしました。
「僕は生まれたくはありません....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
こん》は助太刀の請《こい》を却《しりぞ》けられると、二三日家に閉じこもっていた。
兼ねて求馬《もとめ》と取換した起請文《きしょうもん》の面《おもて》を反故《ほご》....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
た癖に、王生はそう答えたぎり、いつまでも口を噤《つぐ》んでいる。趙生はとうとう待
兼ねたように、そっと王生の膝を突いた。
「それからどうしたのだ?」
「それから一....
「女」より 著者:芥川竜之介
つぼみ》の※と、――無数の仔蜘蛛を生んだ雌蜘蛛はそう云う産所《さんじょ》と墓とを
兼ねた、紗《しゃ》のような幕の天井の下に、天職を果した母親の限りない歓喜を感じな....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
ろを見ると、あるいはあらゆる大男|並《なみ》に総身《そうみ》に智慧《ちえ》が廻り
兼ねと言う趣《おもむき》があったのかも知れません。ちょっと本筋へはいる前にその一....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
》で、昂然とこう云い放った。この分では、誰よりも彼自身が、その斬り捨ての任に当り
兼ねない勢いである。これに煽動《せんどう》された吉田、原、早水、堀部などは、皆一....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
た日も薄暗い茶の間《ま》へ行った。茶の間には長火鉢の上の柱に、ある毛糸屋の広告を
兼ねた、大きな日暦《ひごよみ》が懸っている。――そこに髪を切った浅川の叔母が、し....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
から?
保吉 それから一週間ばかりたった後《のち》、妙子はとうとう苦しさに堪え
兼ね、自殺をしようと決心するのです。が、ちょうど妊娠《にんしん》しているために、....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
した。
「ああ言う商売もやり切れないな。」
僕は何か僕自身もながらみ取りになり
兼ねない気がした。
「ええ、全くやり切れませんよ。何しろ沖へ泳いで行っちゃ、何度....
「運」より 著者:芥川竜之介
善い運だとか、悪い運だとか。」
「それが、どうも貴方がたには、ちとおわかりになり
兼ねましょうて。」
「私には運の善し悪しより、そう云う理窟の方がわからなそうだね....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
いわず、口といわず、ばらばらと遠藤の顔へ焼きつくのです。 遠藤はとうとうたまり
兼ねて、火花の旋風に追われながら、転げるように外へ逃げ出しました。 三....
「格さんと食慾」より 著者:芥川竜之介
らず、又宇野浩二は喜劇的精神を発揮しないにもしろ、あらゆる多感と聡明とを二つとも
兼ね具えた人のように滅多にムキにはならない人である。喜劇的精神を発揮することその....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
予は越後三条の生れなり。父は農と商を
兼ねたり。伯父は春庵とて医師なり。余は父よりは伯父に愛せられて、幼きより手習学問....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
時代の崇拝者となり、美人の評判高かった金持の後家と結婚が、夫人は平素デビーの書記
兼助手たるファラデーを眼下に見下しておったらしい。 さて上に述べた手紙に対して....